ハイキュー

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角名「..............何、あれ。」





ボール片手にドリンクを飲む治の肩を、角名はちょんちょん叩く。


“あれ”こと、名無しと侑は、お互い無言で自主練をしていて、顔を合わせる度睨み合う。



...説明しろと言うことか。



最近、何度もデジャヴを感じるが、あえてスルーを決め込んだ治。






治「..............ケンカ中。」






ぼそりと答えると、角名の隣からひょっこりと尾白アランが顔を見せた。






尾白「いつもみたいに、言い合うケンカとちゃうねんな。」



治「...............冷戦。」



角名「え、珍し。」






名無しと侑がケンカをするのは珍しいことではない。


2人は部内でケンカをするというより、前日のケンカを次の日の部活に持ち込んでくるタイプのもので。

むしろ、よく見る。



...侑と治のケンカの次くらいに。






尾白「どうせ、また侑のヤキモチやろ?」



治「...................そんな感じ。」



角名「うわー、相変わらず余裕ない。」






お互いそっぽを向く2人を見ながら、尾白と角名は楽しそうに笑う。



正直、治からすれば、名無しと侑のケンカを見て楽しめるのはこのバレー部くらいだと思う。

見てて楽しいか、と聞かれれば自分は迷わず「No」と答えるだろう。



いろんな意味で“バケモノ”が集まった部だ。






尾白「......で?......治はこういう時、止める役やろ。」



治「.....................。」






尾白に“止める役”と言われた治は顔をしかめる。


確かに、名無しと侑がケンカした今回の担当は自分だ。

だが、今回はちょっとばかり面倒なことになっているのだ。




治「たまには自分らで解決してもらわな...。」






尾白「名無しはお前らがケンカしとる時
同じようなこと言いながらも、ちゃんと止めに行っとるぞ。」



角名「侑と治がケンカするのが、1番多い。」






治「......................。」




言い終わる前に尾白と角名にド正論を言われてしまい、治は口を一文字に結ぶ。


いや、今回は例外だ。


とにかくそう言いたい。

...言いたいから。
治は前日の出来事を話すことにした。
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