ハイキュー
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帰り道。
北に散々怒られて、侑と名無しは解放された。
治は【遅いから先帰る】とラインを残して、さっさと帰ってしまっていた。
侑「................。」
「................。」
ケンカというケンカはもう2人の間からは無くなっていたけど、気まずさが残る。
ケンカした後は誰でも少しは気まずさを感じるが、2人の場合は完全に終了したわけではない。
北によって、中途半端なところで止まっているのだ。
侑「......なぁ......名無し。」
「.............なに。」
恐る恐る声をかけると、少し間を開けて名無しは返事をした。
顔は俯いたままだったが、とりあえず返事をしてくれたことに侑は安心する。
侑「......怒っとった理由。......ほんまにそないなことなんか。」
自分は勝手な嫉妬で怒ってしまったが、名無しは違った。
侑以外を好きになると思ったことに、怒っていたのだ。
“そないなこと”という単語を聞いた名無しはムスッと頬を膨らませる。
「そないな...ちゃう。
私にとっては......大事なことや。」
そう言う横顔が想像以上に真剣なもので、侑はだんだん頬が緩んでいく。
侑「.............フッフ。」
「..........なにニヤニヤしてん。私まだ怒ってんねん。」
侑「.........そら堪忍な。」
怒っていると言いながらも、体育館の時よりは幾分か落ち着いた表情。
あまり怒っていないことは分かっている。
「......謝る気ぃ無いんバレバレや。」
侑「あるある。」
「もうちょっと上手く嘘ついて。」
顔を上げた名無しは侑の肩を軽く叩いた。