ハイキュー
□ギャップ
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北「...俺、苗字のこと好きやねん。
俺と付きおうてくれへんか。」
バレー部主将、北信介にそう言われたのはほんの数ヶ月前のこと。
名無しからすれば、片想いだと思っていた相手からの突然の告白で
混乱、動揺、そんなものではなかった。
返事をする前に、嬉しさからの涙が先に出てしまい
涙声で必死に返事をしたのは、今でも、これからも忘れられない。
と、まあ、これは数ヶ月前の話で
今では、恋人らしい関係に進歩している。
主将とマネージャー。
部活が休みの日も、部活後の帰る時間も、2人はぴったり合わせることが出来る。
そうして北と過ごす時間は、随分と増えた。
* * *
つい先日のデートを思い出しながら、名無しは北の教室に向かっていた。
今日は、部活が珍しくオフで、この後ちょっとしたカフェに行く予定である。
気持ちルンルンで開いている扉から中を覗くと
3年の教室にも関わらず、シンとしていた。
てっきり、受験勉強やら何やらで、数人は確実にいると思っていた。
が、いざ中を覗くと誰もいない。
1人を除いては。
名無しは、窓際の席に向かった。
「.............北先輩...寝とる。」
机に突っ伏して、小さな寝息が聞こえる。
「..........部活...しんどいやろうなぁ...。
練習にプラスして、侑やら部員の世話も......。」
前の席に座り、眠っている北の方を向く。
普段きっちりしている分、こうも無防備な寝顔は見慣れない。
いや、実際数える程しか見たことがないのだが。
そして、見る度にその愛らしい寝顔にキュンとする。
(...北先輩の寝顔、めっちゃかわいい...。これが世に言う“ギャップ萌え”やろか。)
疲れているのは、部活だけではない。
それは、名無しも分かっていた。
「...................北先輩が頑張ってるん、私ちゃんと見てますよ。」
そっと頭を撫でて、外を見ると
綺麗なオレンジ色に染まっていた。