東京喰種
□自由な彼
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私の恋人は、少し変わってる。
ウタ「...名無しに似合いそうなマスクのアイデアが浮かんだ。
......ちょっと、デザインだけでも残させて。」
「...え...今から?
イトリさんの所、行かないの??」
今から出かける、玄関まで来た...って
そんな状況でもお構いなし。
頼まれていたマスクを小さめの箱に入れて
ウタさんは私に、それを手渡した。
これを頼んだのはイトリさんで
なんでも、白鳩に追われた友達のマスクがダメになっちゃって
早急に新しいのが必要になったらしい。
今からこれを届けに行くのに...。
マスクに対しての情熱というか、仕事だからなのか、単に天然なのか。
良いアイデアが浮かんだら、その場で即デザイン。
「...ウタさん、どうするのー......。」
ウタ「...んー......先行ってて。」
「...わかった。...待ってるから、すぐ来てね。」
なんて返してはみたものの、イスに座るその背中を見ると
デザイン残すだけじゃ終わらなさそうだな...って、分かる。
デザイン描き留めて、そのまま作業に入っちゃうのかな...。
「...あーあ、イトリさんに怒られても知ーらない!」
1人でイトリさんのお店まで行くの、寂しいのに!
暗くなった道を1人で歩きながら、不満を溢す。
溢す...んだけど、今ウタさんが作ってるだろうマスクが
私のためのものだと思うと、自然と口元は緩んでしまう訳で。
こんな私も、他人からしたら
少し変だって思われているかもしれない。