東京喰種
□ずっと
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喰種対策局から出た名無しの隣に、班員の黒磐武臣が立つ。
黒磐「......名無しさん。来てます。」
そう言って黒磐が向けた視線を追うと、対策局の外にあるベンチに男が1人座っていた。
「..........習。」
名無しが小さな声で名を呟くと、耳が良い彼...月山習は顔を上げた。
喰種である月山が喰種対策局の前で捜査官を前に微笑むのは、違和感がある。
...が、これは人と喰種が和解しつつあることも意味していた。
少しばかり考えが変わってきている世の中で、名無しは今でも喰種を嫌う人間の内の1人だ。
それが、幼い頃仲が良かった月山であっても同じ。
月山「......名無し。...ランチでも...。」
「..........行かないから。」
笑顔で話しかける月山に、冷たく言い放ち通り過ぎようとする。
それでも月山は名無しと話そうと肩を掴む。
掴まれた肩を冷めた視線で見つめて、名無しはその手を払った。
月山「名無し!話しだけでも...!」
「それ以上近づかないで。
立場上、ここで狩られてもおかしくないのよ。」
月山「......君は、そんなことしないだろう?」
「......さあ。...するかもね。」
くるりと背を向けてその場を去る名無し。
月山は、それ以上追おうとはしなかった。
黒磐「......よかったんですか。」
横を歩く黒磐は、後ろをちらりと見た。
遠慮が感じられるその言い方に、名無しは苦笑する。
「よかったの。当たり前でしょ。
......和解したって何したって、喰種は私の中では...敵なの。」