東京喰種 

□いたずら心1
1ページ/3ページ


その日、米林は捜査官の中で1番仲が良い友達、名無しをシャトーに招いていた。


彼女は宇井郡の班に所属している。
それ故に、一見関わりがなさそうに見える。

しかし、瓜江の恋人であることも相まって、すぐにクインクスの班員と打ち解けていた。




米林の部屋でゲームを堪能していた2人。

名無しは完全な初心者。
それを、米林が「教えるから」と誘ったのだ。




米林(......喉乾いたぁ......。)

自室を出て1階に降りた米林は、ソファーを見た瞬間にんまりとしてマッハで戻る。


そして、部屋で米林に勧められた漫画を読んでいた名無しに向かって、出来る限りの小声で叫んだ。





米林「名無し!!ウリが寝とる!」



「任せろっ!」





ぱあっと表情を明るくさせ、ベッドから軽快に飛び降りた名無し。

こそこそと足音を立てない様に2人で階段を降りる。


ふくらはぎに力が入り、つま先だけで少しずつ進む。

日頃鍛えた筋力のおかげだ、と名無しは心の中で厳しかった宇井に感謝した。







1階のリビングに着いてキョロキョロすると、お目当ての瓜江を発見する。


ソファーで眠る瓜江の前にあるのは平机。
その平机の上にあるのは数枚の紙。

調査書を読み込む途中で寝落ちしたのだと確信しながら、名無しは尚も距離を詰めた。



そして、瓜江の目の前まで来たところで部屋から持ってきたマジックペンを掲げる。




「......ふっふっふ。日頃の恨み...とか無いけど、いざ!」




満面の笑みで掲げたペンを瓜江の頬に着地させようとしたが



「............ほ?」



それは叶わなかった。

直前に薄く目を開いた瓜江に、しっかりと抱き止められてしまったのだ。



「...ほ?へ?え??......っわぁぁあ!!?」



行き場のないペンをウロウロさせている間にも、抱きしめられる力は強くなる。





「さっ、才子ちゃん...!」


米林「.......ごめんな、名無し。手遅れや。」


「ちょっと待って!!?」





友達に向かって伸ばした手も、虚しく届かない。

ニッコリ笑った米林は、瓜江と目が合う前にまたマッハで部屋に戻った。



「う、瓜江くん!!起きてるよね!?」



さっき薄く開いた目を確認した。
起きているのは確かだろう。






「無視しないでっ!!?
起きてるよね、ね??離してー!!」



瓜江「......サイズが、丁度いい。」






やっと口を開いたかと思えば、さらに強く抱きしめられるだけ。





「抱き枕として、ですか!?
私は人です!捜査官です!あなたの彼女です!!」


瓜江「......っふ...くく。」


「笑うなぁあ!!」





手をバタバタさせる名無しを、瓜江は心底楽しそうに見つめた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ