東京喰種 

□どんな時も
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日曜日。

久しぶりに休みがとれた名無しは月山と水族館に来ていた。


世間で言うところのデートである。





月山「うん、実に良かった!!」





水族館から出た月山は、満足そうに頷く。


名無しも名無しで、満更でもなさそう。

近くを歩いていた子連れの家族を見て、頬を緩ませている。





月山「あのマンボウは、なかなか大物だよ!
水族館には久しぶりに行ったけど、子供の頃を思い出すね。」



「..........イルカ、かわいかった。」





そう言った名無しの方を月山はパッと見た。

つんとわざとらしく顔を背けたが、頬は少し赤い。
それを見て、月山はにこにこしている。



そっと手を握ってみる。

一瞬びっくりしたように名無しの肩が揺れたがすぐに握り返してくれた。


月山は内心舞い上がりそうな感情を抑えて、さも落ち着いたような口調で言った。






月山「覚えているかい?幼い頃に行ったことがあるのを。」






今日デートに誘ったのは月山。

そして、デートの場所を決めたのもまた月山だった。


今日来た水族館は、2人がまだ小さかった頃、一緒に遊びに来た場所だったのだ。




「............覚えてる。」




水族館を見た瞬間、すぐに分かった。


多少建物が新しくなってはいたが、前と変わらない。


前と同じように、今回も楽しめた。



名無しは「楽しめた」と素直に言えず




「...........ねぇ。楽しかった?」




と、逆に月山に聞いてしまった。



「あの頃とは、何もかも違う。
...年も、関係も。.........本当に、楽しかった?」



自分が楽しかったからこそ、聞いてしまう。


自分だけが楽しかったら、意味がない。
確認するみたいで嫌になったが聞かずにはいられない。

心の中でドキドキしながら、名無しは月山の答えを待った。






月山「............もちろん。楽しかったさ。とても。

...........君が、隣にいるんだから。」






そして。


返ってきた答えは、想像するより嬉しいものだった。
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