トイレの向こうでファンタジー

□消えた便器
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「なんだこれ……」

そのドアを開けた瞬間、俺の目の前には何故か見慣れぬ草原が広がっていた。



トイレの向こうでファンタジー





予想だにしなかった展開に、思わず固まってしまう俺。

「いやいや、有り得ねえって……おわっ?!」

そもそも俺は学校のトイレ(個室)のドアを開けたのであって、決して某国民的人気アニメに登場する未来の便利グッズの『どこへでもドア』を開けたわけじゃない。
慌ててドアを閉めようと中腰で後ずさった俺だったが、何故だか後ずさった先も学校のトイレではなくなっていた。

「はっ?!なに?!いや、ちょっと待て!!」

しかも、パニックに陥った俺がドアノブを手放した瞬間、

「便器カムバーーック!!」

トイレどころか、ドアまで綺麗さっぱり消えてしまったのだ。



「嘘だろ……」

ところで、俺がイジメ覚悟で学校の個室トイレに飛び込んだ理由は一つしかない。
朝から腹の調子がよろしくない俺は、幾度となくこっそりこの人気(ひとけ)のない個室に足を運んでいた。

この個室のドアを開けたのは今日は、もう三回目だ。
二回目まではなんともなかった。
なのにどうして三回目で便所もろとも便器が消える?!

俺は今、便器を猛烈に欲している。
便器がないと俺は……、

「あ」

やばい!
そう思った時は遅かった。

「…………」

う○んちが、モレタ。

……高校生にもなってうん○こ漏らした。

マジか。小二の夏以来だよ。


つか、○よ、ちゃんと仕事しろ!!


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