往きて戻りつ。



光也が消えて、慶光が還ってきた。光也は未来からきた慶光の孫なのだと聴かされた。―光也は、確かに
此処に居たんだ。穏やかに微笑んだ慶光の面影をそのままに受け継いだ光也…。あのまっすぐな姿に、
何度助けられた事だろう。助けられるばかりで、
結局最後まで何もしてやれなかった。

それでも、あの瞬間、確かに僕達は…時を越えて互いに心通わせたことを、
決して忘れることはない。もう二度と逢えなくとも
お前と過ごした日々が
僕の幸福の証だ。

僕が求めた形とは違っていても…ずっと、僕を見守ってくれた、手を引いてくれた。
慶光は、僕の光だった。


光也が最後に託した願い。これからは、ずっとずっとお前だけを想って
生きていくよ…だから
どうか
お前の生きる未来が幸福であるように…いつも笑顔でいてくれるように、どんな時もお前は僕の傍にいる…心は、もうずっと
離れない。


…愛してくれてありがとう守ってくれてありがとう
今度は僕がお前を守るから


ほんの瞬きの出逢いだったとしても…また、いつか。



「…おかえり、慶光。」





[了]
………………………………

仁は同時に二人の人間を 愛したのだと思います。
家族としての愛と
生涯を誓う友としての愛。仁の光也への想いが彼の
幸福であり、時を越えて
光也に届いた仁の想いが
光也の幸福に繋がっていくのだと思います。

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