どうか君だけは笑って生きて

□No.1
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恐る恐るタンスの引き出しを覗いて、私は身を震わせた。
昨日の夜には絶対あったはずの下着が、ない。ごっそり、まるで手掴みでもした様に抜き取られている。




「気持ち悪い……」




下着が無くなり始めたのは、まだほんの三日前からだ。
最初はきっと気のせいだと、そう思っていた。でも連続しての紛失に、流石に気のせいではないだろうとようやく気付いた。

どうしよう、誰かに相談しないと。とそこまで考えてでも、と思い直す。
警察の人、でも犯人の顔を見た訳でもないし、心当たりもない。相談した所で、結局何ともならない気がした。
どうしようもない。

とにかく外に出よう。私は立ち上がる。
家から出るのは怖い。身の危険を察知して回避するのが難しくなる。

でも、この空間に留まっている事ももう限界だった。
落ち着ける所に行きたい。
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