どうか君だけは笑って生きて
□No.2
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安室さんに打ち明けてから早くも一週間が経とうとしている。
下着が無くなるあの異変はぱったり途絶えた。
それは非常に喜ばしい事だ。喜ばしい事なのだが………。
「………!」
ぱっと後ろを振り向く。私の後ろを歩いていた男性と女性が迷惑そうに横へ避けていく。
怪しい人は、私の目では確認出来ない……。
一瞬緊張状態になった体から、どっと疲れが押し寄せて来る。
そう、下着泥棒は止まったけどその代わりの様に、次はぴりぴり肌を刺す様な視線を感じる様になってしまったのだ。
外出中だろうが家の中だろうが関係なく。
…いよいよ心が本格的に疲れて来てしまったようだ。
塞ぎ込んでいても仕方が無い、安室さんだって必死に犯人を探していてくれている。何とか気分を変えるために買い物がてら外に出てきたのに。
「人に紛れてれば大丈夫って思ったのにな…」
最初こそ視線は人に塗れていればそこまで感じはしなかったのだが、人と言うのは慣れる生き物だ。
今はもう変わらなくなってしまった。
自然と早歩きになる。妙に気が急いて、ウインドウショッピングだとか言っている場合ではない。