夢を語って、青に堕ちる

□第1章
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カノンが、場を盛り上げるのも上手いし、物教えも上手いっていうのはわかったわ。

「カノンのぉ、猿でもわかるぅぅぅぅ?英語教室ぅぅぅぅぅ!!」
「いえい」
「のってくれるのがイツキだけ?!ま、まあ、やっていきまーす。」

最初から真面目にやれば?というセリフはごくりと飲み込み、わかりやすーい英語解説講座を受ける。日本語禁止状態だけれども、わかりやすいったらわかりやすいのよね。これ。

『この文は、もしもああだったら、こうなっていただろう、という文です。この単語が、「だっただろう」を言います。』

難しい単語や文法は使わず、日本語での解説は一切しない。たまに、日本語だったらこう訳すんだよーと単語を言うぐらい。

英文を美術の授業で使っていたスケッチブックに書いて、黒板代わりにする。黒と青だけで書かれたアルファベットの羅列は、スラスラと進んでいく。もちろん、時々問いかけを私たちに投げかけることは忘れずに。

いま、私たちは食堂や式典の時に使うらしい講堂で授業中。

入り口から見てまっすぐに、一つの長テーブルがあるだけのここは、学校が始まると、テーブルが四つになるらしい。きっと魔法で運ばれるのね。便利すぎるでしょ、魔法とか。

奥のほうの誕生日席には、Mr.セブルスが座っている。この世界では羽ペンを使うらしく、それを握ってせわしなく手を動かしている。え、万年筆すらないの?ボールペンは?!と六人で叫んだのはついさっき。カノンもそこまでは知らなかったらしく、「ええ、ガラパゴス諸島並みに文明やらなんやらが、追いつきもせず、発展すらもしていない、だと?」と驚愕していた。

ガラパゴス諸島は、各々の島で動物たちが進化を遂げていったことで有名。生物の分野では一度は習う、はず。え、進化してないなら、ただのネバーランド?ピーターパンはどこにいるのかなあ、という冗談はいったん置いといて、真面目モードになって、英語に関する知識を吸収していく。



しばらく経ってから、大きな扉がギーーーと音をたてて開いた。年季が入ってるわあ。

『さあ、食事をしながら、自己紹介をしようかの?』

クラス替え後の自己紹介より、難易度五個ぐらい上、ですって?!
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