夢を語って、青に堕ちる

□第1章
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やってしまった。そう、自己紹介で噛んでしまった。いや、噛んじゃうかな?と思ってたけど、フラグじゃないよね?とも思ったけど。本当に噛むなんて。

「ね、なんかわかんないこととかあった?」

食事が終わりに近づいてきた頃、カノンが聞いてきた。

「あー、教科で何個かわかんないことが。ポーションやら、うんならかんならダークアーツ?とか。ポーションってあれか?RPGの回復アイテム的な?」

部長がそう言ったけども、例えがゲーム。うーん、部長らしいね。やっぱ、どこに行っても安定したキャラだよね、みんな。

「あー、俺はそれと、ハグリッドの役目がわかんなくって。ゲームマスターってどういうことだ?」

そういえば、さっきまでハグリッドさんと話をしてたけど、職業についてはよくわかってなかった。会話は日本についてだったし。男子三人は彼と話して、女子二人はMs.マクゴナガルと。時々他の席の人とも話したけれど、皆さん優しそうやら面白そうやら怖そうやら。色んな人がいる。

魔法界って、僕らの世界の人より自己主張がはっきりしてる。国が違うっていうのもあるんだろうけれど、日本では考えられないぐらいだ。子供たちはどんな感じかな。

「ええっとねえ、potionsは魔法薬学ね。色んな薬を作る授業だよ。ま、座学もあるけど。」
『ええと、Mr.スネイプ、魔法薬学ではどんな薬を作りますか?彼らに少し教えて欲しいのですが。』

黙々と食事を摂っていたMr.スネイプ。ピタッと動きを止めて、ちらっとカノンを見た。ニコッとカノンは笑っている。
眉間のシワを二本ほど増やして、僕らの方を向き、説明してくれた。

『魔法薬学では、簡単な怪我を治すものから、強力な眠り薬まで、幅広く薬品を製作する。基本的にwandは使わん。』

「「「「「ワンド?」」」」」

オウム返しで復唱する。なんでしょう、ワンドって。

『これのことだ』

Mr.スネイプは杖を取り出し、僕らに見せ、振った。綺麗な光がキラキラと宙を舞う。
思わずパチパチと拍手する。すっごく綺麗だ。

あんなことも出来るようになるんだぁ。

『魔法使いが魔法を使う時、杖を使うんですよね?』

カノンが聞くと、Mr.スネイプは頷いた。

『そうだ、transfigurationsやcharmsで習うことになる。』

『transfigurationsは私の担当ですよ。』

Ms.マクゴナガルがそう言って、杖を取り出した。そして近くにあった一本のフォークに向かって、何かを唱えて杖を振る。
すると、それはみるみると形を変えて、白の百合に変わった。僕らが驚いていると、また何か言って杖を振る。今度は元のフォークに戻る。
パチパチとまた拍手する。

『charmsはこのようなことをしますぞ!』

Ms.マクゴナガルの左に座っていたMr.フリットウィック。杖を振ってこう言った。

『ウィンガーディアム・レヴィオーサ』

杖の先にあった空の大皿はふわっと浮いた。
またまた拍手をする。

『魔法って、面白くって、綺麗です!すごい!』

たどたどしい英語で感想を述べる。もう、本当にすごい!
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