夢を語って、青に堕ちる

□第1章
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いや、ダンブルドア?別にここで出さなくてもね。良かったんですよ?あの、そう、うん、個人的にはね?!

彼はパンと手を叩き、机の上を片付けて本をどさっと出した。

袋などで包装はされておらず、むき出しのまま。多分、理由まではわからないけれど何を買ったのかを知りたかったんだろう。プライバシー保護法とか民法とか教育基本法とかなさそうだよね、魔法界って。
日本の魔法界にはあると信じたい。もー、日本国憲法万歳!社会権万歳!GHQもありがとう!ちゃんと反省してるのかな日本の人は。そういえばさ、今、西暦何年なんだろうねえ。

なぜここまで現実逃避をしているか。それは、むき出しのままの本にある。

一番左のトウヤはクディッチのルールブック。トウヤの右にはイツキと魔法界の動物についての本。また隣には、クディッチのルールブックと魔法界の歴史を買ったショウマ。またまた隣には女子力高めの手芸やら料理やら衣服やらの本を買ったアオイ。私の左には、魔法界のことを勉強する気満々のサキ。断言しよう。サキ、君はレイブンクローだ!

そして、私の前にはそう色々な本が十冊ほど。ダンブルドア。残念だったね。タイミングが、だいぶ悪かったよ。

ほらぁぁぁぁぁ、右の危険な動物大好きなハグリッドからの視線は痛いし、私から見てダンブルドアの右にいる原作とか映画とかと全然違うスネイプと、闇の陣営のトップが頭に住み着いてるクィレルの目力えげつないしぃ!
だってさ?毎度毎度食事終わった後、後ろ向いてなんかボソボソ喋ってんだよターバン野郎。しかも、私をチラ見しながらよ?!もう、確実に住み着いてるわ!青春をこじらせて、万年思春期のイケメンだったボーイが!

つーか、お前ら仲良しこよしか?!私はGL・BLは好みじゃないが存在の否定はしない!そこに愛さえあれば!!いや、違う、そもそもこの小説はそっち方面じゃありません帰れホモォ!うわぁ!

え、いや、ダンブルドア?!自分で本全部出したくせに、なぜ私の方を凝視してきてるんすか?!顔がうるさかったですか?!自覚はあります昔から、末期ですが。しょうがないでしょう心の中は嵐フィーバーですよコンチキショウ!

理不尽の極み、神は死んだぁ!いや、元からいないぃぃ!!ああああああ!!!

『未来のための保険です。』

藁にもすがる思いで、肩をすくめて言ってみたが、いやはや皆さん兎にも角にも、目がうるさい。目は口ほどに物を言うとは、これのことですね広辞苑先生。勉強になります。今なら、白目ひんむいてぶっ倒れられると思います。ガチで。

『君は、一体誰と戦うつもりなのかね?』

シワが五割増しのスネイプに聞かれる。

『え?そりゃ、闇の陣営とですが何か?私をいの一番に殺してきそうな人たちもいるそうなので。彼らの考えもある程度わかりますから。』

クィレルの顔がひくりと震えた。

『い、いったい、誰の、こ、ことでしょう?!』

声が上ずっている。いい人なのか、悪い人なのかはこれから見分けるべきやつだね。さすがに真っ向から否定はしない。うん。

『アカシドファミリーです。代表的なアジア系の純血なのでしょう?』

ピシッとその場の空気が固まる。子ども五人も硬直している。そりゃそうだ。彼らにもわかるような文法で、ゆっくり話していたのだから。それに、私の苗字を名乗る一家、驚かなかったらそのメンタルに賞賛を送るところである。

もちろん、しっかりと確認と裏取りもしてある。私の兄と両親の名前、私が知っていた先祖様たちの名前を本屋で見つけた。無関係ではないだろう。

『ふむ、それでは、カノン、少々話をしてくれるかの?セブルスと、マクゴナガルは残っておくれ。今日は、フリットウィックに他の五人を部屋まで送ってもらおう。なに、心配せんでよい。帰りはセブルスに任せるし、聞くのもたいしたことではないからのぉ。』

アオイたちが不安そうな顔をして、ダンブルドアが声をかけた。

大丈夫だって、すぐ終わるって。ね?安心してよ、そんなに弱くはできてないから。
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