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□爆弾投下
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「はい、ちーず!」パシャ
「むー、やっぱり反応しないね。」
「仮面じゃやっぱり無理ですね。」
さっきからリッパーと2人で自撮りしてるけど、スマホのカメラがリッパーの顔をなかなか認識してくれない。
さっき一瞬反応した猫耳リッパーめっちゃ可愛いかったのになぁ。
「ただいま〜。…2人とも何を楽しそうにしてるんだい?」
ゲームからジョゼフが帰ってきた。彼は写真撮るのが好きだからこの手の話は好きかもしれない。
「お疲れ様。じゃあ、そろそろ私も次のゲームの準備をしてきますね。」
「ジョゼフおっかえりー。2人で自撮りしてたの〜。リッパーはいってらっしゃーい。」
「ありがとうございます、頑張ってください。…えっと、自撮り?その小さな板のようなもので?」
ジョゼフめっちゃ驚いてる。そういえば、彼の前でスマホを使うのは初めてかもしれない。他のハンターの人達の、未来から来た私への順応力が高すぎて忘れてたなぁ。
「少しお借りしても?」
「いいよー」
はい、どーぞ。
大きなお手手にスマホを渡すとスマホ自体がかなり小さく見える。
じっくりスマホを見て、へーとかほぉーとか言ってるジョゼフはとても絵になる。
ついじっと見つめてしまう。
「ありがとう、面白いカメラだね。……名無しさん?」
「…え、あ。そうだね。」
すると彼はニヤニヤして、さては僕に見とれてたね?とか言うもんだから素直にそうだよ。ジョゼフは綺麗だね。って言ったら顔が真っ赤になった。
「っ……!」
え、ジョゼフさん実は褒められなれてない感じ…?自分がイケメンなの自覚してるのに?……まじか。
「事実じゃん。」
「…あっ、貴女がそんな返答するとは、思ってなくて!」
ほぉ…てっきり私が照れると思ったと。そしてきた予想外の純粋な褒め言葉に驚いたと。
なんだかジョゼフがすごく可愛いく見えてきたので、この際褒めちぎって遊んでみよう。
思えば、このときちょっと調子乗り過ぎたのがいけなかった。
「どうして?熱心に物を見つめるスカイブルーの瞳も、それを縁取る長いまつ毛も、陶器のようにキメ細かい真っ白な肌も、月光を反射して輝くサラサラな毛も、スラリと伸びる長い手脚も、スマホを触ってる細くて長い指も…」
「もっ、もういい!!!」
「えぇ…」
もっといっぱいあるのにーと不満げな顔をして彼の顔を見ると顔は手で覆われてよく見えないが、耳まで真っ赤で、これが成人している大人の男性だと思うと面白くて仕方ない。
「…っふふ。」
「あ、貴女!わざとからかったんですね!!」
いけないいけない。面白くてつい笑みが。
彼自身も余裕無さすぎて敬語になっちゃってるし。彼が顔を背けて拗ねているのもまた面白い。
「ごめんごめん、途中から悪ノリしたけど言ったことは本心だから。…っふ」
「も、もう!全然反省してないじゃないか!!」
「ジョゼフが可愛いのが悪い。」
「僕だって男なんだよ?!」
そんな顔して言われても説得力がない。
元々こんな美人が照れたところで可愛い以外のなにものでもない。
「そ、それに可愛いなら…名無しさんの方が…」
お?
「私がなぁに?」
「…っ!名無しさんの方が可愛いに決まってる!!」
か、かわいい…顔真っ赤なのに目はすごく真剣で、美人にそんな表情されたら胸のあたりがきゅうっと痛くなる。
「じょ、ジョゼフ…」
「…そうだよ、それこそ君を僕の写真世界でずっとずっと愛でてたいくらい!」
あー、これやばいやつだ。さっきの自分を殴りたい。真剣だった彼の瞳に邪気が混ざり始めている。
「ねぇ、名無しさん…僕、一目惚れだったんだ。」
まずい。
逃げようと数歩後ずさろうとしたら、さっきまで写真撮ってたんだからもちろん後ろは壁で。
ドンッ
「名無しさん、僕と永遠に一緒に生きようよ。」
「ひっ……」
後ろは壁。逃げ場なし。全然嬉しくない壁ドン。恐ろしいくらい綺麗に整ったジョゼフの顔が怖い。笑っているのに目が笑ってない。本気だ。
怖くて視線を下に下げようとしたら綺麗な彼の指に顎を掬いとられた。
「ふふっ、やっぱり僕なんかよりよっぽど名無しさんは可愛いよ。」
「…っ」
怖い。
ジョゼフのことは好きだ。彼の想いを初めて知った。だけど、こんな状況では素直に喜べない。
なんとかここから逃れなければ…
ためしに彼の胸板を押してみるがまったくビクともしない。
「今さら抵抗したって無駄だよ?」
ジョゼフは本気だ。魂を彼に取られることの延命にしかならないかもしれないけど、こうなれば手段を選んでる暇はない。
「ま、まだ早すぎるよ!」
「君を僕の世界に閉じ込めるのに遅いも早いもないだろう?」
写真世界では撮られた者の時は完全に止まってしまうと彼から聞いたことがある。それは撮られた本人の体内も同じであると。
「だ、だってまだ私、ジョゼフの気持ちを知ったばっかりだし!」
「僕の世界でお互いを徐々に知っていけばいいさ。時間はたくさんあるんだから。」
「…でも、ジョゼフの世界は身体の時も止まっちゃうんでしょう?」
「そうだよ。ずっと君は可愛い今の姿でいられるんだ。」
だから逆に時が止まるのを利用させていただく。あとちょっと反省してもらう。
「それじゃあやっぱり早すぎるよ。」
「どうして?」
徐々にすわってきた彼の目が恐ろしい。
でもこれだけは言わせていただこう。
「だって…!ジョゼフとの赤ちゃんできなくなっちゃうじゃん!!!!」
「?!」
さっきの狂気はどこへやら。ジョゼフが慌てふためいている。
体内の時が止まるということは子どもを作る器官も止まるということに今気付いたらしい。まぁ、彼が慌てる理由はそれだけではないが。
ここはハンター側の荘園の広間だ。割と大声で叫んだので廊下あたりがバタバタと騒がしい。
「一体何の話ししとったんジョゼフ!?!?」
我らがお姉様美智子ちゃんの般若顔を見よ。
「え、あ、これは…その…」
ごめんねジョゼフ。君のことは好きだけどあまりにもぐいぐい来るものだから…ね。
「話によってはお灸を据えさせていただきますよ…?」
白さんったら目が本気。
「ヒャハハハ!どうせ名無しさんに迫ったんだろーよ!」
ジョーカーさん爆笑してはる。
「災難だったな、名無しさん。」
ありがとうレオパパ、穢らわしい者から守るようにジョゼフから遠ざけてくれるのありがたいけどちょっと申し訳ない。
「あ、あぅ…」
「いつか絶対何かやらかすとは思ってましたけどこれは…」
ゲームに向かおうとしていたリッパーさえ騒ぎを聞きつけ戻ってきた。
「「さぁ、お話をお聞きしましょうか?」」
ジョゼフごめん、ちょっとやりすぎたかも…