ポケモン(長編)キバナ

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ナックルスタジアムからキバナの家までの道を俺のリザードンに案内して貰いながら歩く

…文字やポケモンの勉強をしているとキバナが言っていたな…
せっかくだからケーキでも買って行こう!

ショップに寄って手土産を多めに買うと俺は、ワクワクしながらキバナの家に向かった…

なんて言ったってフウとライはキバナとサクラの子供だからな!
…ポケモントレーナーとしての素晴らしい才能がきっとあるに違いない!

…なんて思いながらキバナの家に辿り着けば…


「え?…どうしてみずタイプがほのおタイプに強くなるの?
…火力や温度によって、水なんてすぐ蒸発すると思うんだけど…
だいたいさ、くさタイプがみずタイプより有利なのも変だよね?
…どんな植物だって水がないと発芽はもちろん、成長すらできないのに…」


「うっ…そ、それは…汗
あっ!兄貴!…た、助けて欲しいんだぞ…泣」


…キバナの家のリビングへと足を踏み入れればテーブルを3人で囲って勉強をしていた…

一見、仲良くしてるようにも見えるんだが…
…困り顔のホップが俺の姿を見て、すぐに助けを求めてくる…汗

とりあえず…いくつか突っ込ませてくれ…汗


「…化学的な勉学がポケモンに、必ずしも通用しないのはホップも良く知ってるだろう?汗
それに…フウは何故、そんなにホップを睨んでいるんだ?汗
…ライは…どうして女装を…?汗」


「…兄貴、ライは女の子だったんだぞ…」


「そ、そーなのか!?…しかし懐かしいな!
…君は昔のキバナに本当に良く似ている…
俺がキバナに初めて会った時、彼の事を女の子だと勘違いして随分、怒られたんだぜ」


つい、昔話をしてしまえば、フウとライが興味深そうに俺を見つめてきた


「…おじさんって父さんの幼馴染なの?」


「俺の兄貴はおじさんって歳じゃないんだぞ…
…キバナさんと同じ歳だし…」


ホップの言葉に驚いたフウが慌てて俺に謝ってくる…俺がおじさんに見えるのは多分…
…髭のせいだよな…?汗


「ダンデでいいぜ!
…幼馴染では無いが、ライバルなんだ!
もちろん、親友でもあるしな!
さて…せっかくだ、ポケモンの勉強なら実戦を見たほうが早い!
…ホップ、相手をしてくれ!」


「!!
よしきた!今度こそ、兄貴に勝つっ!」


パァッと明るい顔を浮かべたホップがワクワクとしながらモンスターボール片手に庭へと飛び出していく!

俺は2人を手招きして呼び、キバナの家の広い庭でホップと対峙すれば早速、モンスターボールを振りかぶって投げた!


「赤い…ウサギ!?」


「っ…!」


「あぁ、あっちは羊で合ってると思う!」


エースバーンとバイウールーを見た双子は2人で会話をしながらもポケモン達に釘付けだった


「兄貴!?
…そのエースバーンはもしかして…!」


「お、気付いたか?
このエースバーンはサクラの…
…フウとライの母親のポケモンだ!
さぁ…早速始めようぜ!
エースバーン、ふいうちだ!」


「うわ!?バイウールー、コットンガード!」


激しいバトルを繰り広げて行く中…
…チラッと2人の様子を見れば、フウが吊り目を輝かせながらバトルを観戦している…

しかし…ライの垂れた瞳に涙が溜まっている事に気付いた俺は、ハッとして慌てて声を出す!


「エースバーン、ストップだっ!」


「っ!?」


「危ないっ!!」


ドッカーンっ!…ガラガラ…


…一瞬だった

バトルを中断しようと出した俺の声は…
…一足、遅かった…!

ホップのゾッとした焦り声からは…
…危険を知らせる言葉が飛び出していた…

お得意のかえんボールを繰り出そうとしていたエースバーンが俺の声に気を取られ…
…勢い良く放ったかえんボールが向きを変えてしまったんだ…!

最悪なことにかえんボールが飛んで行った先はフウとライが居る方向だった…!

咄嗟にホップのバイウールーが2人に突っ込んで行き、なんとか直撃は免れたが…


「だ、大丈夫か?!
2人とも怪我は無いか!?」


慌てて2人に駆け寄って安否を確認する

ホップのバイウールーが自身の毛を膨らませ、衝撃を緩和してくれたおかげで外傷は無い…


「ス…スッゲー!!?
ポケモンってこんなにパワーがあんの?!
なぁ!ライも見ただ…ろ……」


興奮気味なフウがワクワクと顔を踊らせる中…

…ライはガタガタと体を震わせながら、ホップのバイウールーにしがみついていた…


「す、すまない…!
…バトルもポケモンの技も怖かったんだよな?
もっと早く中断するべきだった…!」


甘かった…!
…いくらキバナとサクラの子供だからって…!
必ずしもバトルに興味がある訳じゃない…!

俺は…後悔しながら怯えるライをそっと横抱きにし、家の中に戻ろうとして気付く…


「………随分とキバナは…
…開放的な家に住んでいるな…?」


「それ…さっきのエースバーンのかえんボールで空いた穴なんだぞ…汗」


目の前には家の中がバッチリと見えるくらい、大きく開いた穴がある…

呆然と立ち尽くす俺を…
…ホップとフウがまるで同情するかのような目で見つめていた…
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