ポケモン(長編)キバナ

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次に家電売り場に移動した私達はズラッと並べられた沢山の商品を眺めていた


「サクラ、お前の好きなやつ選べよ」


「え!?私が選ぶんですか?!
…キバナさんの家の家電なんですからキバナさんが選んだ方が良いんじゃ…」


うーん…食器は柄とか形に好みがあるけど…
…キッチン家電って正直、使えればいいからこだわりがないんだよね…汗


「何言ってんだ?俺たちの家だぜ?
…キッチンはサクラが使う方が多いんだからお前が選んでくれ」


「えっ…!?…は、はい…!」


今…キバナさん、ナチュラルに俺たちの家って言ったよ?!…確かに同棲してるけど…!
うぅ…流石に照れる…

…赤くなってしまった顔を見られたくなくて、私はジーッと商品と睨めっこを始めた

…うん、やっぱりコレ!
って心惹かれるものがない…汗


「…サクラ、IHにしてみるのはどうだ?
その…火傷するかもしれないし…」


困り顔を浮かべていたらダンデさんが私の様子に気付いて声を掛けてくれた

…確かにまた爆発したら嫌だ…汗
IHの方がいいかも!…ガス代浮くし!笑


「いいですね!
そしたら…あ!コレがいいです!」


私の目に止まったのは黒がベースでワンポイントにオレンジ色が使われている可愛らしいIHクッキングヒーター
…キッチンに置くものにしては少しだけ派手な気もするけど…


「オレンジ?
サクラはオレンジ色が好きだったのか?」


私のチョイスが意外だったようでダンデさんは少しポカーンとしている


「へぇ…俺様のパーカーと同じ色じゃん」


ニヤリと企み顔で笑うキバナさんにギクッと肩を揺らす私


「…だって好きなんですもん…」


俯いて赤い顔を隠しながらボソッと私は呟くように言葉を出した


「っ…ホント可愛い奴…」


そう言ってキバナさんは私の頭をくしゃくしゃと撫でる


「ちょ…ちょっと!髪の毛乱れちゃう…!」


「キバナ?その辺にしてくれないか」


何故か分からないけど…少しだけ哀しげなダンデさんがキバナさんの手を掴んだ


「あー?…お前、そろそろ諦めろよな…」


ん?諦めるって何の話?
私がキョトンとしているとダンデさんはバツが悪そうな顔を浮かべていて…


「あの、ダンデさ…「会計をしてくる」


私にはダンデさんの表情が苦しそうに見えて声を掛けたんだけど…
…目も合わせてくれないまま、言葉を遮られ、ダンデさんはレジへと行ってしまった…


「…ダンデさん、急にどうしたんでしょうか…」


「…サクラは気にしなくていい
…俺様とダンデは…ずっとライバルなんだよ」


「ライバル…」


キバナさんの言葉が意味深で理解できなかった
…確かに2人は長年ポケモンバトルで競い合う因縁のライバル同士…
でも普段は仲良いし、親友でもあるのに…

…ん?ポケモンバトル…?


「あっ!キバナさん!!
そろそろナックルスタジアム行ってジムバトルしないと!時間無くなっちゃう!」


久々のショッピングを楽しんじゃっててすっかり時間を忘れてた!
ダンデさんから誕生日プレゼントに貰った腕時計を見て私は慌ててしまう


「今更かよっ!…まぁサクラらしいけど…
…先に言っとくがムゲンダイナの件があっても
ジムリーダーとして手は抜けねーからな?」


「わかってますよ!
私だって秘策があるんですから!」


「そりゃ楽しみだな!
…って…うわぁ〜…ダンデの馬鹿野郎…っ」


私がやる気満々に返事を返せば、ニカっと笑うキバナさん
…しかし、目線が私の後ろに移れば顔を大きな手で覆って呆れていた

頭上に?を浮かべながらキバナさんの目線の先へと振り返って目を向ければ…


「わ〜…ダンデさんスゴイですね…」


…大きなIHクッキングヒーターを担いで此方に向かってくるダンデさん
キバナさんもダンデさんもお忍びという事もあって変装してたんだけど…

あれだけ目立てばバレるって…汗
…ほら人が集まって来ちゃってる…
てゆーか…宅配頼もうよ、ダンデさん…


「シーッ!今は、お忍びなんだぜ!」


デパートに来ているお客さんに囲まれてしまったダンデさんは助けを求めるように此方を見る
…もちろん、そんな事をすれば背の高いキバナさんに目線が集まるわけで…


「キャー!キバナ様も居るわよーっ!?」


はい、見つかりました!!

うわっ!
…沢山の女性達がこっちに向かってくる!
キテルグマの群れより迫力あるし、目がかなり怖いんですけど?!


「ちょっと誰よ!キバナ様の隣に居る女?!」


「おいアレって…!
ルリナとモデルやってたサクラじゃね?!」


あれ…もしかして私も結構有名人…?


「あー…これは流石に逃げれねぇわ…
ったく…サクラ、こっち寄れ」


「え…?」


人々の群れに硬直してしまっている私の腰をグイッと引き寄せるキバナさん
…そのまま堂々と私をエスコートしながらダンデさんの元へと慣れた足取りで歩いていく…

その光景に固まる人々…
あぁ…女性陣の目が鋭くて痛い…泣
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