ポケモン(長編)キバナ

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私が初めて宝物庫に足を踏み入れた途端、頭の奥底から湧いた記憶は3000年前のガラルの英雄たちと過ごした日々だった

…初めてこの世界に来た時と同じようにポツンとワイルドエリアで1人、突っ立って居たら若い男性2人に声を掛けられたんだよね…

私は2人の事をよく知らなかったけど…
…向こうは私の事をまるで待っていたかのように話しかけてきて問答無用でポケモンバトルを挑まれた…

…手持ちのポケモンが1体も居なかったからバトルは出来なかったけど…汗
…彼らは自分のポケモン達を何体か私に預けて3000年前のガラル中を一緒に旅してくれたの…

…まぁ旅というよりも苛酷過ぎる、激しい特訓だったけどね…

私、一応女の子なのに本当に容赦なかった…泣

最初は訳が分からなかったけど、旅をして行く中で彼等がザシアンやザマゼンタの…
…これから起こる、ブラックナイトの事などたくさんの有難い話を聞くことができた…

…そして彼らの前にムゲンダイナが現れた時…
…そこからは気絶しちゃってよく覚えてないんだけど、気付いたら英雄たちの時代から元の時代へと戻っていた…

英雄の彼らからブラックナイト対策で特に必須な2つの内容を私は教えてもらっている…

1つ目はザシアンとザマゼンタの新しい主人を見つける事
…ザシアンには私がいるからザマゼンタの主人を見つけないといけない…

2つ目は…ザシアンとザマゼンタの大切な剣と盾を探して持たせてあげる事
…恐らくゲーム内にもあった、くちた剣とくちた盾の事だと思う!
…何処にあるのかは分からないけど、とにかく探すしかない…!

こんなに重要な内容だというのに私は…
…キバナさん達のいる時代に帰る際、時間を彷徨った影響からか記憶を吹っ飛ばしてしまった

…宝物庫にあるタペストリーのおかげで思い出せて本当に良かったよ…
忘れたまま、ムゲンダイナと対戦っ!…なんてなってたらガラルが終わってたかもしれない…

…ポケモンの世界や過去に行ったりしたから、今頃になって身体が悲鳴をあげてるけど…
立てない程じゃないし、今は早くやるべき事を片付けなくちゃ…!

頭の中でこれからの行動を考えながら、キバナさん達に状況を説明していたんだけど…
突然、入ってきたジムトレーナーさんの口からホップくんが来たって聞いて私は思わず、飛び上がってしまう!

だってホップくんはゲームの中でザマゼンタの主人に選ばれてたんだもん!
きっとホップくんで間違いないはず…!

…私が期待たっぷりのキラキラした目をしていたもんだから傍に居たキバナさんとダンデさんは戸惑っていた…


「…俺の弟がどうかしたのか?」


「まさか…ダンデの弟がザマゼンタの主人…
…とか言わねーよな…?」


キバナさんもダンデさんも落ち着かない様子で私を見つめてくる
そんな2人に私はニコッと笑顔を向けた


「キバナさん、正解!!
確証はないですけど、ホップ君がザマゼンタの主人に選ばれる可能性が高いです!」


「待ってくれ!!
…それはつまり…ホップもムゲンダイナと戦わなければならないって事だろう…!?」


ホップくんがザマゼンタの主人に選ばれる可能性が高いと分かれば、ダンデさんは表情を曇らせる

…その顔を見て私はハッとした

ザマゼンタの主人がすぐに見つかりそうで私は凄く安心していたんだけど…
…ダンデさんからしたら自分の大切な弟だから危険に巻き込みたくなんてないよね…

浮かれてしまった自分が恥ずかしくて、ダンデさんに申し訳なくて…
…自然と私の目線は下を向いた


「…ムゲンダイナとのバトルは俺様やダンデが居れば問題ねぇだろ?
サクラだってもう充分に強い…!
…ダンデの弟が本当にザマゼンタに選ばれたら俺ら大人で守ってやればいいだけだ
…光栄じゃねぇか、ガラルの伝説のポケモンであるザマゼンタに選ばれるなんてよ…!」


そう言ったキバナさんの顔を驚いたような表情で見るダンデさん
そして曇っていた表情がクシャッとした笑顔に変わった


「キバナの言う通りだ!
…俺はホップもサクラもガラル中の人々だって誰1人、傷付かせるつもりはない!
それに…俺の弟がザマゼンタに選ばれるなら誇らしいぜ!」


ニカっと笑う笑顔に燃えるような熱い目をしているダンデさんの顔にもう曇りはない


「そうと決まれば…!早速、ザマゼンタとホップくんを会わせましょう!」


キバナさんとダンデさんの頼もしい姿にホッと安心した私は自然と笑みが溢れて、さっきまでキツかった身体がなんだか少し楽になった気がした


「…サクラ、本当に休まなくて平気か?
…俺としては家で休んでて欲しいんだよなぁ…」


「俺も休んで欲しいんだぜ…
…サクラは無理し過ぎだと思うが…」


現在、私とキバナさんとダンデさんの3人は一旦、家に戻ってザマゼンタを呼び、そのままホップくんの待つ宝物庫に向かっている

…キバナさんとダンデさんは私の身体が心配なようでさっきからずっと休んで欲しいしか言ってこない…

…ちなみにこれ、6回目だよ…?
いくらなんでもしつこい…!


「本当に大丈夫です…!
…7回目を言ったらゲンガーにさいみんじゅつをかけさせますね?」


いくら心配してくれていると言っても流石に2人とも過保護過ぎる…汗
…今は手足が少し痙攣してるくらいで、すごく体調が悪いわけでもないのに…

私はついに痺れを切らしてしまって圧のある、にっこりとした顔を向ければようやく黙る2人…

…本当はキバナさんとダンデさんにこんなに大切に思われて嬉しかったんだけど…内緒ね?笑
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