ポケモン(長編)ダンデ

□1
6ページ/7ページ



「き、君は…!!
昨夜からどうしてそんな恥ずかしいことをサラサラと言えるんだ?!
ひ、一目惚れって…そんな…!
…ちょっと待ってくれ!!」


耳まで真っ赤にした顔でパニック状態のダンデが叫ぶように声をあげた
…抱き着くハナを引き剥がして背中を向け、帽子を深く被って真っ赤になった顔を隠す

…俺様の…俺様のハナが…
ダンデに一目惚れ…?

…だからワンナイトラブをしたって事か…?

…正直、そーゆー理由があったとしても簡単に体を許したハナにはショックだ…
…しかも相手がダンデっていうのが余計に気に入らねぇ…

いや待てよ…ダンデなら浮気するような男じゃねぇし、経済的にも安定してる…
…顔も体型も男の俺様から見ても悪くねぇ…
チャンピオンを引退した後だってバトルタワーを経営するやり手だ…

…ガラルの人々からも絶大な人気を誇っている

…最愛の妹の相手になる奴の好条件を全て満たしているじゃねぇか!

けど…けどよっ!
…俺様だって久しぶりにハナとようやく再会できたんだぜ?!

…ハナがダンデに好意を持ったとはいえ…
このままダンデの女にさせたくねぇよっ!!


「キバナー?聞いてるー?」


固まったまま、脳内で思考を張り巡らせている俺様の顔の目の前をハナの小さな手のひらが何度も往復した


「…友達からなら許す」


…激しい脳内バトルの末、俺が絞り出せた言葉はそれだけだった…


「キバナ?!と、友達って…!」


…俺様の言葉に仰天しているダンデは今も顔がオクタンのように真っ赤になってやがる…


「あぁ?…お前、俺様の最愛の妹に手ェ出しといて逃げるつもりなのか?
…良い度胸してんじゃねぇか…!」


色々とあり過ぎてイライラしちまっている俺はついダンデを睨んじまう
…そんな俺を見て慌てて言葉を返すダンデ…


「そんな事は言ってないだろうっ!?
わ…分かったんだぜ!
俺と…ハナくんは今日から友達だ!」


どーんと友達だと言い放つダンデの横でホッとしたような顔を浮かべるハナ…


「はい、決まり!
ん…?…でも昨日ヤっちゃったし…
…セフレって事?」


「「そんな訳ねぇ(無い)だろうっ!」」


ハナの爆弾発言にダンデと声を合わせて全力で否定した

セフレなんてはしたない言葉、女の子が使うんじゃねぇよ!!
つーか!俺様が許す訳ねぇだろっ!?

…10年の間に一体、何がハナをこんなに変えちまったんだよ…
はぁ…昔は俺様からずっと離れなくて甘えん坊で泣き虫だったっつーのに…

容姿もすっかり変わっちまってて…
…今はバッチリ化粧も髪型もキマってる…

モデルのルリナに負けないくらい…
…いや、俺様のハナの方が綺麗だ(兄目線)

…マジでこの10年間、連絡も一切してこないで何してたんだ?汗
…俺様の可愛い妹には変わりねぇけどよ…


「そしたら私は友達!…のダンデくん?
…とショッピングでもしてくるから〜!」


…友達という言葉をオーバー気味に強調させながらそう言ったハナはガシッとダンデの腕にスラっとした腕を絡ませた

…目の前でくっ付くんじゃねぇ!
俺様、そろそろ泣きそうなんだよ…泣

…ダンデも顔を真っ赤にしたまま、ハナ相手にタジタジだ…

…ダンデとは長い付き合いだが、女関連の浮いた話なんて聞いた事がねぇ…
1にポケモン、2にバトル、3も4も5もポケモンかバトルの事ばっかりの奴だ…

…不安でしかねぇ!
クソッ!…やっぱり友達からなら許す…なんて言うんじゃなかったぜ…!

…もうハナが俺様の可愛い妹だって分かっているだろうからぞんざいな扱いなんてダンデは絶対にしねぇ筈だが…

…ハナからまた手を出すかもしれねぇ!!泣


「ちょっと待て!…ほら、俺様のスマホだ
何かあったらすぐに連絡してこいよ?
…必ず駆け付けてやる」


「わーコレ、最新のスマホ?!いいの!?」


キラキラと目を輝かせながら俺様からスマホを受け取るハナ


「俺様、2台持ってるし…
それは万が一の為に持ってたんだ
…やるからちゃんと連絡しろよ?」


「するするー!
あ!後、キバナの家に泊めてくれない?
後でまたここに戻ってくるからさ!」


「断るわけねぇだろ!
つーか…他の所にもう泊まらせねぇよ…」


溜息混じりに声を出して、俺様は現在の状況に戸惑いを隠せないダンデの肩をガシッと掴んだ


「ぜっっったいに手ェ出すなよ…!?」


圧のある声と表情で脅すようにそう言えばコクコクと何度も頷くダンデ…


「じゃ、キバナ!また後でね!
ほら、早く行きましょっ!」


ダンデの片手を引っ張って執務室から出て行くハナとダンデ…

…残った俺様はドカっ!とソファに座り込んで深い溜息を吐いた…

俺様にはジムリーダーや宝物庫の管理人として仕事が山ほどあるんだが…

…今日は先程の件もあって全く頭が回らねぇ!
いつもやってる業務だっていうのに凄く時間が掛かっちまっていた…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ