ポケモン(長編)ダンデ

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ちょっと待て…
なんだよ、このダンデの反応は…!?

俺様の目の前には、戸惑いや驚愕を表しながら真っ赤に頬を染め上げたダンデの姿…
…長年、付き合いのある俺様ですら初めて目にした表情に戸惑いを隠せない…

この間、ダンデと会った時に「久しぶりにハナに会えたんだ!」って、嬉々としてハナの事ばかり話すダンデに俺様は驚いていた…

…だってよ…普段のダンデならポケモンやバトルの事を話す時くらいにしかこんな嬉しそうな顔はしねぇ…

俺様はハナがポケモンサロンを開こうとしている事だってダンデを通じて知ったし…
…今日のOPEN祝いに贈った花々だってダンデが提案してきたんだ…

もちろん、最初は俺様の妹をダンデにくれてやるなんて癪だし、気に入らなかったが…
…ハナを惚けた目で見つめては人間らしい顔をするダンデになんだか安心しちまった…

…それにコイツがハナを大事に思っているなんて誰の目から見ても明らかだった

ハナもダンデに一目惚れしちまったし…
…仕方ねぇ、見守ってやるか…

…ってそう思ってたのに…!!
間違いねぇ…ダンデのこの反応は…汗


「うっそだろ…
…お前…無自覚だったのかよ…?」


まさかのダンデの反応に俺は頭がクラクラしてきちまって、額に手を当て盛大な溜息を吐いた


「ち、ちゃんと今、理解したぞ?!
俺は…ハナの事が…す、好…きみたいだ…!」


あーあ…好きって言葉を口にする事すら躊躇って恥じらっちまうこの恋愛力の低さ…
…下手したらダンデの弟であるホップや現チャンプのマサル方が恋愛経験が多そうだぜ…


「…ま、自覚出来て良かったんじゃねぇの?
ハナもお前に一目惚れしたって言ってたし…
…相思相愛じゃねぇか」


俺の最愛の妹に好意を寄せる男なんてダンデであろうと吹き飛ばしてやりたいのが本音だが…
…ここまで鈍い男となると逆に心配で怒る気力なんて湧かねぇよ…汗

ん…?なんだ…?
…ダンデの奴、なんか表情が暗くなってね?
相思相愛って分かったら普通、喜ぶもんだろ…


「キバナ…実はな…
…ハナが俺に一目惚れをしたというのは彼女の嘘なんだ…」


「はぁっ!!?」


思わず、自分でもびっくりするくらいの声量の声が出る
俺様がそんな馬鹿でかい声を出したもんだから、奥のキッチンで料理を作っていたハナがこっちに来ちまった…!


「キバナ?
…どーしたのよ、そんな大きな声出して…」


タオルで手を拭きながら、不思議そうに俺様とダンデを見るハナ…

…ダンデの奴はついさっき、やっと自分の気持ちを自覚したばかりという事もあって真っ赤な顔を隠すようにハナに背を向けていた

…こんなに余裕のねぇダンデは初めて見たぜ…


「な、何でもねぇ…!
…つーかもう出来たのか?」


慌てて何も無いと返事をして、すぐさま俺は話題をすり替えた


「ううん、まだ少し掛かりそうなのよね…
お腹減ってるだろうけど…
…もうちょっとだけ待っててちょうだい」


何事も無いと分かれば、ハナは小さく微笑みながらキッチンへと戻っていく…


「おい、ダンデ!
どーゆー事だよ!?説明しやがれっ!」


ハナがまた此方に来てしまえば、話は続けられない
…だから俺は声量を抑えて声を出してるつもりなんだが…

正直、頭の中がパニック状態で声を本当に抑えられてるのか分からねぇ!

だってよ…!
俺様はハナがダンデに一目惚れしたって…!
…応援してくれないの?って言ってたから…!

だからまるで自分の相棒であるポケモンたちを手放すような気持ちで事を許したんだ…!

なのに…それが全て嘘だったのか…!?


「…ハナは…俺が君に怒られてしまうと思って咄嗟に嘘をついたんだ…」


小さな声でそう言ったダンデは幼い子供のような面持ちでしゅん…と悲しそうに俯いていた…


「ま、マジかよ…」


…って事は…つまり、俺様のせい…?

いやいやいや…!
だってあの状況なら誰だってキレるだろ…!?
10年振りに会った最愛の妹をライバルに寝取られてんだぞ?!

…ってそーじゃねぇよな…
やべぇ…ダンデが落ち込んじまってる…汗

俺はぐるぐると頭の中で懸命に思考を張り巡らせたが…
…自分の気持ちの整理もついていない上に、誤っていた見解、おまけに目の前で親友兼ライバルのダンデがここまで落ち込んでいて…

…何も言葉が出てこなくなっちまっていた…


「キバナー!運ぶの手伝ってくれるー?」


「えっ!?
あ、あぁ!今行くぜ!」


そんな中、ハナの高い声がキッチンから離れたリビングにまで響き渡ってきて俺様は慌ててハナの元に向かった…
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