ポケモン(長編)ダンデ

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「ハナ!勝ったぜっ!」


試合を終えた俺はバトル後の礼儀である握手をダイゴと済ませ、すぐにハナの元へ向かった

…バトル中に聞こえたハナからの声援が今も耳に残っている…
あの声援がなかったらメガ進化したメタグロスに動揺していたかもしれない…


「カッコよかった!
すっごくカッコよかったわ!!」


目を輝かせながら興奮気味に褒めてくれるハナに頬が緩んだ
…ここまで真っ直ぐに褒められると流石に少し照れてしまうな…

…なんて思ってたらハナは俺の隣にいるリザードンにガバッと飛び付いた!


「リザードンっ!!
とっても熱いバトルだったわ!」


えっ!?
俺じゃなくてリザードンに言ったのか?!

…ハナの言動に少しショックを受けたが、自分の相棒であるリザードンが嬉しそうにしているし、ダイゴに彼女を取られなくて済んだから良しとしよう…

でも…俺も褒めて欲しかったんだぜ…


「完敗だよ…まさかこのボクが負けるなんて…
おや?ハナちゃん…
…もう随分とビジネスを済ませたようだね!」


「へ?…あーうん、おかげさまでね!」


苦笑いを浮かべるハナは手に持っている大量の名刺に目線を落とした
…少しクシャッとしてしまっていたから、バトルの観戦中に強く握っていたのかもしれない


「ビジネス?
…え、お前、その為にここに来てたのか…?」


「そーよ?
ダイゴの父親はデボンコーポレーションの社長さんなのよ
…現役時代の私のスポンサーだったし…
ポケモンコンテストを広める為に…なんて言われたら断れるわけがないでしょ?」


目を大きく見開いたキバナは口が開きっぱなしで塞がらない

…ポケモンコンテストを広める為に彼女はこのパーティに参加してたのか…
…てっきり昔の恋人に会いたくて来ているのでは…と少し思っていたから俺はホッとした


「あ!でもお前…!
ダイゴと昔、付き合ってたんだろ!?」


「…昔の話だよ
…ボクはハナちゃんに振られてしまっているから掘り返さないで欲しいんだけど…」


「…キバナはデリカシーが無いわね…」


心底、迷惑そうな顔をハナとダイゴに向けられたキバナは小さくなる
…その巨体を小さく出来るなんて凄いな?汗

あ…それよりも…


「ハナ…キミをエスコートさせてくれるか?」


ダイゴとの勝負に勝った俺はそう言ってハナに向かって手を差し出す

…今夜のハナはとびきり美しい…
この会場にいるどの女性よりも間違いなく美しく輝いている

…そんな彼女が俺の初めての恋人だなんて…
…幸せ過ぎてまいってしまうな…


「…もちろんよ」


ふわっとした上品な微笑みを浮かべながら、俺が差し出した手に触れた彼女に胸がドクン…と高鳴った

っ…その顔は…
俺にとってこうかばつぐん過ぎるんだぜ…

紅くなった頬を隠したかったが、触れ合っているハナの手を離したくない


「なぁダイゴ…あっちで俺様と呑まねぇ?
…俺様、ここに居ると泣いちまいそう…」


「ボクはあまりお酒が得意じゃないんだけど…
…流石に今日は呑もうかな…」


ポケモンバトルを通して友情が芽生えたのか、キバナとダイゴは俺とハナから離れるように移動して行った


「??
何故、キバナは泣きそうなんだ?」


離れていく2人の後ろ姿を見送りながら俺は首を傾げる
…ダイゴも少し元気がなかったが…


「私とダンデくんが付き合い始めたって分かったからじゃない?
…昔から過保護過ぎるのよ、キバナは…」


「えっ?!
俺はまだキバナに何も言ってないぞ!?」


キバナにはきちんと俺からハナと交際してると報告するつもりだったのに…!
…ハナはキバナの大事な妹だ…
いくら親友の俺といえど、心配に決まっている

いや…むしろ恋愛経験の殆どない俺が相手だからキバナは余計に心配するかもしれない…


「私たちの様子を見たら双子のキバナから見なくても分かると思うわよ?
…ダンデくん、さっきのポケモンバトルの時と違って顔が緩んじゃってるし…」


「えっ!?
す、すまない…!つい嬉しくって…!」


…さっきから俺は驚いてばかりだ…

…初めての経験ばかりが身の回りで起こっていて、俺はまるで赤子にでもなったような気分になってしまう…


「フフッ…
…ダンデくんって普段は男らしくて紳士なのに時々、可愛いわよね」


「俺が可愛い?…何を言っているんだ?
可愛いのはキミの方だろう?」


「…あとやっぱり天然タラシ…」


「??
…天然タラシってなんだ?」


俺が何度も首を傾げているとハナの少し紅く染まった頬が膨らんだ
…何かまずいことを言ったのだろうか…

ふむ…交際について俺はもっと勉強しなければいけないみたいだな…

ガラルに戻ったらソニアに聞いてみよう
…ハナを喜ばせる方法を教えてくれるかもしれない
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