ポケモン(長編)キバナ
□10
1ページ/7ページ
自分のポケモンたちを回収し終えた私はあの場に…キバナさんの近くにいるのが苦しくて辛くて先に家を出た
キバナさんの相棒であるジュラルドンにも辛い思いをさせちゃった…
…自分と同じような想いを今頃してると思うと胸が苦しい…
…キバナさんの隣に居たから彼のことは他の人よりもずっと分かると思う
騙す形になったけど、キバナさんはバトルで勝ったら私のお願いを聞いてくれると言った…
…だからバトルに勝利してキバナさんの記憶を取り戻す…
ジムチャレンジがこんな目的に変わるなんて予想もしてなかった
目を閉じればこっちの世界に来てからずっと隣で私を支えてくれた優しいキバナさんの顔が浮かんでくる…
さっき、私とダンデさんに向けたあの鋭く睨む目は別人のようだった…
もう…私の大好きなキバナさんじゃない…
それでも私はどうしても諦めきれなくて…!
…これ以上、独りぼっちになりたくなかった…
悲しむだけじゃ何も変わらないって分かってる
…だから前に進んで…私はまたキバナさんの隣に居られるように頑張るしかないんだ…!
私の辛そうな顔を見て心配したラビフットが足に抱き着いてきた
…ボール越しから私の他のポケモンたちも心配そうに見ている
私のジュラルドンはキバナさんのジュラルドンと離れてしまった事が辛いのか、今にも泣き出しそうだった…
「ごめんね…!私、頑張るから…!
きっと…元通りになるから…!」
…そう言って唇を噛んだ
「サクラ…?大丈夫か?」
後からキバナさんの家を出たダンデさんが後ろから私の名前を呼ぶ
…振り返って出来るだけの笑顔を見せる
「はい…すぐにでも残りのジムバッチを集めに行くつもりです
でも…キバナさんの記憶の戻し方ってどうやるんですか?」
エンジンシティに向かってすぐにでもバッチを獲得したかったが、肝心のキバナさんの記憶の戻し方を聞いていない私はダンデさんに問い掛けた
「…それには…キバナの記憶を食べたムンナが必要なんだ
そのムンナはキバナのサクラに対する記憶と感情を食べているから、感化されてると思うぜ?
…今頃、サクラを探しているかもしれないな」
…ん?
とゆーことは…私の事が好きなムンナを見つけないといけないってこと?
「…そしたらそのムンナを見つけないと…!」
「あぁ…そのムンナをムシャーナに進化させてからもう一度、キバナの夢を食べてもらうんだ
…夢と引き換えで記憶を元に戻す事が出来るらしいからな
…とりあえず、キバナが襲われたのは宝物庫だと言っていたから行ってみよう」
私とダンデさんはムンナを見つけるために宝物庫へと足を進めた
宝物庫に近付いてくれば、扉の前に…
…きのみをたくさん持ったゲンガーの姿がある
…このたくさんのきのみはキバナさんに対するお礼のつもりみたい…
「あのゲンガーは…
キバナを襲った奴で間違いなさそうだな…」
ダンデさんがそう言えばコクリと頷く私
ゆっくりゲンガーに近寄っていけばゲンガーの背中からムンナが飛び出してきて私の頭の上に乗ってスリスリと甘えてきた
…そして今度は顔中にキスをしてくるムンナ
んー…なんかこんな風によくされてた覚えがあるんだけど…汗
「…キバナはスキンシップが激しかったみたいだな」
…私にベタベタするムンナを見て苦笑い気味のダンデさん…
確かにキバナさんは結構…いやかなりスキンシップが激しかった
…朝起きたらすぐにちゅーしてきてたし…
「ははっ…想像にお任せします…」
キバナさんの普段の様子をダンデさんに知られたら…私の方が恥ずかしい!
だから苦笑いを浮かべて誤魔化した
そんなムンナにダンデさんはモンスターボールを取り出してコツンと軽く当てる
ボールに吸い込まれていくムンナ
…カタカタとモンスターボールが揺れて捕獲音と共に動きが止まった…
弱らせずに野生のポケモンを捕まえるなんて…
…流石チャンピオン、実力は計り知れない
「…このムンナは俺が育てる
サクラはバッチ集めに集中するといい」
「助かります!
あっ…ゲンガーはどうするんですか?」
ムンナがゲットされて持っていたきのみを落とすゲンガー
…おろおろと落ち着かない様子だ
「…確かにそうだな…君も俺と一緒に来るか?」
ダンデさんがそうゲンガーに尋ねたが不服そうな顔を浮かべてふるふると首を横に振った
その様子にダンデさんはどうしたものかと困った顔を浮かべている
「…私と来るのも嫌かな?
ほら…ムンナにもまた会えると思うよ」
私の言葉を聞いてニヤリと笑みを浮かべたゲンガーはコクリと頷いた
うーん…この子、いまいち何を考えているのか分からない…
…どうしてチャンピオンであるダンデさんはダメで私は良いんだろう…?
とりあえず、ゲンガーにモンスターボールを見せれば自分からボールの中へと入っていった…