ポケモン(長編)キバナ

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何故だっ…!?
…チャンピオンである俺やトップジムリーダーのキバナではダメなのか…?!

何故、ザシアン達は…俺たちを選ばない…?!

ガラルの危機を救う為なら俺たちだって協力するに決まっている…!
…どうしてサクラじゃなきゃダメなんだ…?!

彼女を危険に晒すなんて…
…そんなの絶対にさせたくない…!

キバナはサクラの言葉を聞いてその場に立ち尽くしていた
…キバナもきっと俺と同じ思いなんだろう…


「サクラ…?
お前…マジで言ってんのか…?」


キバナの声は震えている…
そんなキバナにサクラは微笑みを見せた


「…私はザシアンのトレーナーですよ?
…きっとブラックナイトを止める事が…私がザシアンに選ばれ、この世界に来た理由でもあると思うんです…」


…サクラは微笑んで見せているが、体が小刻みに震えていた…
…強がっているが…本当は怖いんだろう…

キバナもそれに気付き、震えるサクラを包み込むように抱き締めた


「…お前を危ない目になんか…!
この俺様が絶対に合わせねぇ…!」


「もちろん、俺も協力する
…ザシアンたちも文句は無いな?」


ギラッと強い目でザシアンたちを見ればコクリと頷いた

…ザシアンの主人がサクラなら…俺とキバナはその主人を守るナイトってところか…
…彼女を守る為のナイトになら喜んで引き受けさせて頂く…!


「キバナさんもダンデさんも…
ありがとうございます…!
…お二人が居ればきっと大丈夫です!」


サクラは怯えが表情から消えた訳ではなかったが、俺とキバナの言葉に安心したようで小さく微笑む…

…ブラックナイトからガラルを守るには…
元凶であるムゲンダイナというポケモンを詳しく調べるしかない…

…あの書物を早く解読しなければ…


「キバナ…急いで解読を進めよう
…ブラックナイトがいつ発生してもおかしくないぜ…」


「分かってる…!
…あの古びた書物の解読さえ出来れば対策が打てるからな…」


俺とキバナは顔を見合わせてお互いに頷き合う

…サクラの事も愛するガラルの地も…
全てを守りたい気持ちは一緒だ


「私も手伝います!」


ハキハキした声でサクラも手伝うと言えば俺たちはキバナの部屋に移動した

…キバナの部屋には資料が山積みになっていて解読を試みた形跡が山ほどあった…
そしてレプリカやキバナの綺麗な字で書かれている資料を手に取り、俺に向かって見せながら話しかけてくる


「ダンデはどこまで解読が進んでるんだ?
…俺様は文字の形と数を表にしてみたんだが…文法も読み方も分からねーんだよな…」


「俺もキバナと同じとこで止まってるんだぜ…
…この繋がれている文字も線に見えるし…」


俺とキバナはつい話し込んでしまってサクラが口を開けて驚いている事に気付かずにいた


「あのー…それ貸してください」


サクラが声を出した事によってようやく俺とキバナはサクラを見た
…キバナはキョトンとしながらもサクラに自身が書いた資料を手渡す


「…やっぱり…これ英語の筆記体だ…」


「「サクラ、読めるのかっ!?」」


…パラパラと資料をめくるサクラの仕草に俺とキバナは声を揃えて驚いてしまう

あれだけ時間をかけて解読を試みてきたのに…


「これ…私の元々いた世界で1番使われている英語という言語の文字ですね…
うーん…筆記体だから読み難い…」


キバナの書いた資料を見ては眉を寄せて考え込むサクラに俺は思わず、大きな声を上げる


「英語ならこちらの世界にもあるぞ!?
…それにこっちの文字はどこの地域も共通しているはず…!」


「うーん…私が居た世界って6500種類以上の言語があるって聞いたことありますけど…
…このキバナさんが書いた資料は英語の文字で間違いありませんよ?
…私の居た世界で1番よく使われていますから…」


「6500…!?…すげぇな…」


とんでもない数にキバナが声を漏らす
…そんなに必要なのか?
…絶対に覚えられないと思うんだが…汗


「でも…私が居た世界の英語は文字の種類が比較的少ないので覚えやすいです!
…少なくともこっちの世界の文字よりは苦労しませんでしたし…」


「ん…?…まさか…普段、俺たちが使っている文字はサクラの居た世界には無いのか…?」


サクラの発言に違和感を感じた俺は冷や汗を垂らしながら質問を投げた


「そーなんですよー!
だから此方の世界に来たばかりだった頃はスマホロトムの使い方すら分からなくて…」


「待て待て!
お前、すぐに使い方覚えて普通にメッセージを送ってただろ?!
それに…本だって読んでたじゃねぇか!?」


キバナがサクラに焦り気味で質問を投げる


「??
…スマホロトムは話しかければ文字にしてメッセージを送ってくれるし…
流石に文字を読めないとこっちで生活するのに困りますから…勉強して覚えましたよ?」


…さっきから俺とキバナは驚きっぱなしだ

そんな俺たちをキョトンとした顔で見るサクラは…かなりの才女なのだと確信した…
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