ポケモン(長編)キバナ

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もう何処にも行けねーようにサクラを閉じ込めちまいたかった…

…サクラが旅に出ていた間は全くってくらい会えねぇし、連絡も殆どなかった…

ザマゼンタのせいでサクラが目の前で消えちまった時なんて…思い出したくもねぇ…!
しかも…今回は喧嘩したくらいで家を飛び出しやがったし…!

…まるでサクラはのらりくらりとすり抜けていく霧のようで俺様の女だっていうのに手に入った感覚がまるでしねぇ…

モンスターボールがポケモンにだけじゃなくて人間にも使えたらいいのに…
…そんな酷い考えは良くねぇって分かっているんだが…つい考えちまう…

けど…俺様の腕の中で震えるサクラを見てたらそんな邪な思考はスーッと消えていった


「…いつまでそーやってるんですかね?
…子供が居るって分かっていやがるんですか?」


ネズの冷めた声に俺様はハッとして後ろを振り向いた
…ネズは不機嫌そうに自分の妹の目を手で強引に覆って目隠しをさせている…

ヤベ…ネズ、怒ってんな…汗


「ちょっとアニキ!
もうアタシ、子供じゃなかよ!」


…妹の方も子供扱いされてご機嫌斜めみたいだ

2人のやりとりを見て俺は仕方なくサクラを抱き締める腕を離した
するとすぐにサクラがネズを見て申し訳なさそうな顔を浮かべて口を開く


「ネズさん…す、すみません…
…ご迷惑をお掛けしちゃったみたいで…」


「…無事だったなら良いですよ
…キバナならともかく、ダンデまで珍しく騒ぎやがるから何事かとは思いましたがね…」


ネズがチラッとダンデに目線を向ける


「すまないな、ネズ!本当に助かったぜ…
…サクラもきちんと話をしないと駄目だろう…心配したんだぞ?」


ダンデもさっきまで若干怒っていたんだが…
…サクラが無事だったのを確認出来て落ち着いたみたいだな…


「ご、ごめんなさい…
…でもよく私がキルクスタウンに居るって分かりましたね…?」


ペコペコと頭を下げて謝るサクラだったが、こんなにも早く自分の居場所がバレた事を不思議に思っているようだった


「…マクワから俺様宛に連絡が来たんだよ
…俺様の推薦者のバトルがまるで本物のドラゴンみたいだったってな…
…それでキルクスタウンに来て、目撃情報を探してたらネズの妹が連れてったって聞いてよ…それでネズに連絡したってわけだ」


「…そーだったんですね…
…マリィちゃんにハメられちゃった…」


俺様の説明を聞いたサクラは苦笑気味にネズの妹へと視線を向けた


「ごめん…アニキからチャンピオン達が大変な事になってるって聞いたから…」


「ホントですよ
…夜だっていうのに着信の嵐が掛かってきやがりますし…キバナだったら無視してましたが、ダンデからも着信があったので流石に無視出来ねぇですし…」


「…おい…!
…ちょいちょい俺様をディスるんじゃねぇ」


…さっきからネズが俺様にだけ悪態をついてくるから流石にイラッときた
突っ込んだんだが、完全にシカトしてやがる…
…この野郎…


「とにかく、もう真夜中ですし…
…話は明日にしてくれます?
…マリィはもう寝る時間ですよ」


「そうですよね…あ!私、ここのホテルの別の階で部屋とってますよ!
キバナさん、ダンデさん行きましょう?」


…ちょっと待て!なんでそーなるんだ?!
俺様とサクラが同じ部屋なら分かるがどうしてダンデまで呼ぶんだよ!?

サクラの言葉にすぐに俺は反論した


「は?!ダンデは駄目に決まってんだろ!?」


「…キバナ…冷たくないか?
…俺に野宿でもしろっていうのか?」


…ダンデが眉を寄せて悲しそうにしていたが、駄目なもんは駄目だ!


「ふざけんじゃねぇですよ…!
こんなゴツい野郎共をマリィと同じ部屋で寝かせる訳がないでしょーが!」


…誰が誰とどの部屋で寝るかで俺とダンデとネズはぎゃあぎゃあと言い争いを始めた…


「…マリィちゃん…
…やっぱり私の部屋で一緒に寝よっか…」


「そーする…アニキと寝るのも嫌だし…」


サクラとネズの妹が呆れて部屋を出て行った事に全く気付かずに言い争いを続ける俺たち…


「ハッ…!マリィどこ行ったと?!」


「サクラも居ねぇじゃねーか!」


…ネズと俺様は軽く取っ組み合い状態だったんだが、サクラとネズの妹の声が聞こえなくなって焦り気味に部屋をキョロキョロと見渡した


「…だいぶ前にサクラがとったホテルの部屋に移動して行ったぞ?
…男と女で部屋を分かれたんだからもう問題はないだろう?」


…ダンデだけは2人が出て行った事に気付いてたみてぇだ…
…俺様とネズを呆れたような顔で見てやがる…


「まぁ…それなら確かに問題ねーですけど…
それより…いい加減、そろそろお前達が慌てていた理由を話しやがれですよ
…あの女性は前にキバナが相談してきた子でしょう…こんな厄介な男2人に好かれた彼女に同情しますが…」


ネズの言葉に俺様とダンデはピタッと動きが止まった
…ダンデがなんでネズが俺のサクラに対する想いを知っているんだ?!とでも言いたげな顔で見てくるが…そこは一旦、置いといてくれ


「…悪いがサクラと先に話してからだ…
…アイツが家を飛び出した理由だからな…
本当はちゃんと事情を話してお前にも協力を頼みたいんだが…
…勝手に俺らが話すわけにいかねぇの」


…ネズは何やら言いたげな顔をしていたが、溜息をひとつ零してそれ以上は何も言わなかった

そして狭いベッドで男3人が寝れるわけもなく…
…激しいジャンケンの末、ベッドはネズ、ソファはダンデ、俺様は…

…何処で寝ろって言うんだよ…汗

…仕方なく、ネズから枕を奪って絨毯の上に寝転がって目を閉じた…
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