ポケモン(長編)キバナ

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「な…なにこの書類の量…!?」


私の目の前には山のような書類と…トレーニングルームにまで置かれている大量の段ボール…
…まさか…段ボールの中も…?!

思わず、段ボールの中を覗き込めばやはり…
…そこにあったのは書類の山々だった…

げっそりとした顔のジムトレーナー達が私に気付き、泣きそうな顔をしている…

何があったのかと慌てて話を聞いてみれば…
…どうやらこの書類の山が小1時間くらい前にナックルスタジアムへと届いたらしい…汗

しかもこの書類の山はダンデさんからキバナさん宛に届いているそう…
もしかして…キバナさんもダンデさんも…
…私が居なくなっていた1ヶ月の間、執務を放り投げて書物の解読ばかりしてたって事…!?

えーっと…つまり私のせい…?汗


「ご…ごめんなさい!私も手伝うから…!」


慌ててジムトレーナー達と同じように書類に手を伸ばした

中身を見て思ったんだけど…
…これ殆どダンデさんの書類じゃないかな…?
…どうしてナックルスタジアムに…?

あれこれ疑問が頭に浮かんできたけど、考えてる暇など無いくらいにとにかく量が多い…!

えー…チャンピオンとジムリーダーってこんな事までするの…?
…私、チャンピオンを目指してたけど…
…なんか怖くなってきた…泣

でもとりあえず、これ片付けなきゃダメだし…

はぁ…と溜息をこぼして次々と書類を片付けていく私とジムトレーナー達…

…どれくらい時間が経ったのだろうか…
私が最後に窓の外を見た時は夕暮れだったのに…今は真っ暗で星が遠くで輝いている

私を含めたこの場にいる全員、顔に生気がなくなりかけていた…

その時、ガチャっと扉が開く音が聞こえてきて、キバナさんとダンデさんが入ってきた
そしてげっそりとした私達と目が合い、執務室にある書類の量を見て驚愕している


「…はぁ?!なんだよ、この書類の量?!
…リョウタにレナ、ヒトミ…サクラまでこんな時間まで仕事してたのか?!」


キバナさんの驚きっぷりにジムトレーナーの皆さんはキョトンとした顔を浮かべている…

…そりゃそーだ…汗
だってこれキバナさん宛の書類でしょ…?
…なんで張本人である、キバナさんがそんなに驚いてるのよ…


「む?…俺の書類をやってくれてたのか?
キバナのとこのジムトレーナー達は優しいな!」


後ろでニカっと笑うダンデさんに全員が一斉に注目する
…すぐにキバナさんは近くにあった書類をいくつか手に取り、険しい顔で目を凝らした


「これ…全部、お前の書類じゃねぇか!!
なんで俺様のジムにあるんだよ!?」


ダンデさんに勢いよく書類を突き出して半ば、キレ気味のキバナさん…
…そんなキバナさんとは反対にチャンピオンスマイルでダンデさんは口を開く…


「あぁ地下プラントの調査に集中したくてな!
…だが仕事を放置する訳にもいかないだろう?
だからしばらくの間、ここで仕事をしようと思って送ってもらったんだぜ!」


ダンデさんの言葉にジムトレーナーの皆さんは開いた口が塞がらない模様…
…うん…皆、キバナさんの書類だと思って一生懸命やってたもんね…汗


「おまっ…スパイクタウン出てからやけにスマホロトムばっかり弄ってるなと思ってたが…
何、勝手してんだよ?!
普通は一言、俺様に言ってからだろう!?
リョウタ達に残業させちまったじゃねぇか!」


「す、すまない…
キバナと俺の仲なら大丈夫だろうと思って…」


キバナさんに怒られたダンデさんはしゅんと小さくなってしまう
…そんな姿を見せられれば怒れるわけもなく…

…ジムトレーナーの皆も仕方ないか…と表情で語っていた
…キバナさんを除いてだけど汗


「親しき仲にも礼儀ありだ!
見ろよ、この執務室!俺様とダンデの書類が混じっちまってんじゃねぇか!」


「…私たちは帰りましょうか…」


キバナさんの怒りは収まらず、ダンデさんは止まらないお説教を受け続けている…

私とジムトレーナーの皆さんは執務を長時間やっていたこともあり、かなり疲れていて…
私が帰宅提案をすればジムトレーナーの皆さんはコクコクと頷き、キバナさんとダンデさんを横目にナックルスタジアムから出て解散した

…キバナさんとダンデさん、置いてっちゃったけど…ま、いっか!
…もうあの様子だと今日はジムバトルなんて出来ないだろうし…家に帰ろう…

私は慣れない業務にすっかり疲れてしまって真っ直ぐキバナさんの家へと帰宅した

家に着けばザマゼンタが玄関まで出迎えに来てくれて、寂しかったのかくーんと鼻を鳴らして甘えてくる
よしよしと頭を撫でてあげてから私はすぐにお風呂に入り、夕食の準備に取り掛かった

今日はネズさんとジムバトルをして、更に執務までしたから流石に疲れた…
…夕飯はカレーにでもしよう…作るの楽だし…

コトコトと大きな鍋でカレーを煮込んでいたら玄関が開く音が聞こえてきた

キバナさんが帰ってきたのだろうと思って、つい嬉しくなってパタパタと駆け足気味に玄関に向かう


「キバナさん、おかえりなさい!
…あれ?ダンデさん…またやつれましたか?」


玄関まで出迎えに行けば…
…私の姿を見てワンパチみたいなニコッとした笑みを向けるキバナさんと…

…その横でげっそりとした顔をしているダンデさんの姿があった…
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