ポケモン(長編)キバナ

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キバナさんのバカーーーっ!!

あーもう!何なのよ、この格好!?
ダンデさんに見られちゃったじゃない!
…恥ずかし過ぎて穴があったら入りたい…

私が現在、身に付けている衣服はキバナさんのぶかぶかのスウェットの上のみだ…
…下着すら着ていない…

…昨日、バスルームでキバナさんに襲われた後から記憶が曖昧だし…
もう!絶対、ぜーったい!今日のジムバトルでボコボコにしてやるー!!泣

怒りと羞恥で真っ赤な顔をしている私は自分の部屋に逃げるように駆け込み、乱暴に衣服を掴んで身に付けた

…てゆーか、怒ってる場合じゃない…
キッチンが凄いことになってたんですけど…!

衣服を身に付ければ段々と落ち着いてきた
そして先程、目に入った変わり果てたキッチンの光景が脳裏に浮かんでくる…

…キバナさんはあまりキッチンを使用しない…

いつも私が使う事の方が多いから少しずつ好みの調理器具やキバナさんとお揃いの食器を買い揃えてたんだけど…

…全部、焦げて割れてた…泣

料理が大好きな私にとって、キッチンはマイテリトリーだ…
ダンデさんが何とも無いみたいで何よりだけど…結構ショックかもしれない…

どんよりとした気分で1階に戻っていけば、キバナさんとダンデさんが無残なキッチンの後片付けをしている…

転がっている食器の破片を拾いあげると悲しくなってきてしまった…


「おい!危ないから触るなって!
俺らで片付けっから…って泣いてんのか?!」


私の存在に気付いたキバナさんが怪我をしないようにと気遣ってくれたが、私の様子を見てギョッとした顔を浮かべる


「な、泣いてませんよ!
…すいません…やっぱりちょっと泣きそうかもしれない…」


慌てて否定の言葉を返したけど…
キッチンに置いてあった食器類は私にとってはコレクションのような物で…
…ボロボロになってしまったのを目の当たりにすれば流石にショックが襲ってきてしまった…


「サクラ!本当にすまない…!
いくらでも好きなものを買ってあげるから泣かないでくれ…!」


凄い勢いで謝ってくるダンデさんは今にも泣きそうだった…
一生懸命、私を宥めようとオロオロとしている

ん…?今、いくらでも好きなもの買ってくれるって言った…?


「本当ですかー!?やったー!!
今すぐ買いに行きましょう!」


ダンデさんの言葉にパァっと明るくなる私の顔
…ずっとショッピングなんてしてなかったし、新作の食器が出てるかもしれない…!


「いや待て待て!
お前、今日は俺様とジムバトルするんだろ?!
…いや、やっぱり午後にやろうぜ…」


…キバナさんがジムバトルをするのでは?と問い掛けてきたけど、ウルウルとした瞳を向ければ午後に予定を変更してくれた
うん、キバナさんは私に甘い!笑


「そうと決まれば早速、デパートに行こうか!
サクラの大事な物をボロボロにしてしまったから遠慮しないで好きなものを選んでくれ」


ニカっと笑顔を向けるダンデさんはどこかホッとしたような表情をしている

あ、ダンデさんも甘かった笑

3人でキッチンの後片付けをすれば、出掛ける用意をして家を出た

…キバナさんとダンデさんがサングラスや帽子を身に付けて変装するのは分かるんだけどさ…

なんで私まで帽子?汗
…キバナさんがワンパチみたいな顔して被せてきたから取りづらいし…ま、いっか!

久しぶりのデパートに足を踏み入れれば、ついテンションが上がってしまう…!


「見てください、新作出てますよ!
これ可愛い!あ、でもこっちもいいなぁ〜…
…うーん、迷いますね…」


たくさん並べられている可愛い雑貨に目をキラキラと輝かせる私…

…隣で見ていたダンデさんが店員さんを呼んで棚にある商品、全てを買おうとすれば慌ててキバナさんが止めに入る

流石、チャンピオン…汗
…大人買いに一切、躊躇いがない…!


「はぁ…ダンデは常識を学んでくれ…」


…キョトンとした顔のダンデさんに疲れた顔のキバナさん
そんな2人を見ていると自然と笑みが溢れてくる


「ふふ、そんなにたくさんは要りませんよ?
使ってあげないと食器も可哀想ですし!」


私の好みの食器を必要な分だけ選べば快くダンデさんが買ってくれたんだけど…
…ちょっぴり不満そうだった


「…これだけでいいのか?」


「はい!使うの楽しみです!
どんな料理を作ろうかな〜」


新しい食器に合う料理を考えながらルンルン気分の私
そんな私を見て微笑ましそうな顔をしているダンデさんの肩をガシッとキバナさんが掴んだ


「ダンデ…お前が爆発させたコンロもちゃーんと買うよな…?」


「も、もちろんだ!」


少しだけ怒り気味のキバナさんにダンデさんは冷や汗を浮かべながらもコクコクと頷く

あ…コンロも爆発しちゃって壊れてたっけ…
…食器ばかり見てたから忘れてた…汗

…キバナさん、家のキッチンを爆発させられてやっぱり多少は怒ってたのね…
怒ってる素ぶりを一切、見せなかったから私もダンデさんも全然、気付かなかった…

でも普通に考えたら怒って当たり前だよね…汗
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