ポケモン(長編)ダンデ
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ハナが2階に行った後、俺は食器の片付けをしてシャワーを浴びてからハナと同じように自分のポケモン達のメンテナンスをしていた
そーいえば…あいつもドラゴンタイプを持ってたよな…
確かホウエン地方に生息してるスッゲー珍しいポケモン!
前にハナの出てるコンテストのDVDを見て、目を奪われたっけ…
…俺様は居ても立っても居られなくなって2階に行ったんだが、ハナに追い返されちまった…
…ポケモンコーディネーターのポリシーなんて俺様には分からねぇけど…
ハナはトップコーディネーターだったからな
…こだわりが強いんだろうと思って大人しく1階に戻ってきた訳だが…
すぐにハナがバツの悪そうな表情を浮かべながら1階に降りてきた
「…キバナ、ごめん…」
「どうした?…何があったんだよ」
ハナのしゅんとした様子に俺は慌てて駆け寄って心配しながらハナを見つめた
「…私のポケモンが部屋を荒らしちゃったの…
…ホントごめん…弁償する…」
「え?お前のポケモンが?」
ハナの言葉に俺は正直、驚いた
…だってよ…ハナのポケモンってDVDで見る限りは優雅って言葉が似合う程、大人しくて聡明なイメージが強いんだが…
「…とりあえず、部屋に行ってもいいか?」
ハナがとにかく申し訳なさそうに顔を歪ませていたので、冗談ではないと分かった
…少し信じ難いが…見に行ってみるか…
「…!!」
「…ね、だから言ったでしょ…」
…2階に上がって部屋の扉を開ければ、俺は目を見開いて立ち尽くした
…嘘だろ…?!
俺様のポケモンでもここまで荒らすなんて事は滅多にねぇぞ!?
シーツも布団も敗れてて、中から羽毛が飛び出てふわふわと部屋中を舞っちまってる…!
しかも壁にあるあの落書き…じゃねぇな?!
…アレは爪痕か!?
クローゼットも噛んだのかよ?!
…見事に欠けてるんだが…汗
…散らかった部屋の中で俺様が間近で見たくて仕方なかったポケモンがキャッキャとはしゃいでいる…
「あ!コラ!遊んでる場合じゃないでしょ!?
アナタも謝りなさいっ!」
ハナが声を荒げると俺様に気付いたソイツが、くるくると俺様の周りを飛び回った…
そして、俺様の頬に擦り寄って可愛らしい鳴き声をあげながら甘えてくる
「コラッ!ラティアスっ!!」
ハナがラティアスに向かって再度、叱るように言葉を投げたが…
…ラティアスはバツの悪そうな顔をして俺様の後ろに隠れ、ハナから距離を取っていた
…悪さをした自覚はあるみたいだな…
だが、そんな事よりも…!
「…ハナ、大丈夫だぜ?
俺様、全然怒ってねぇし…
それよりコイツ、ラティアスって言うんだな!
すんげぇ可愛いじゃねぇか!」
…さっきから甘えてくるラティアスに俺様は、すっかり顔が緩んでいた
ホウエン地方でもかなり珍しいドラゴンタイプのコイツを手持ちにしてる奴なんて、ハナ以外に誰も居ねぇだろうな…
…つーか、めちゃくちゃ甘えん坊じゃねぇか!
あー可愛い…っ!俺様のヌメルゴンとは違う、無邪気な可愛さだ…
「…キバナが構わないなら良いんだけど…
はぁ…今日、キバナのとこのジムトレーナー達とバトルをしたっていうのに…
物足りなかったのかしら…?
…こんなに騒いじゃうなんて…」
頭を抱えて溜息を吐くハナ
…確かにハナがポケモンコーディネーターを辞めちまったから、ハナのポケモンたちはコンテストに出場する事も出来ず、物足りないのかも知れねぇな…
「…お前、明日ダンデの所にでも行ってみたらいいんじゃねぇか?」
「はぁ?…なんでダンデくん?」
俺様の提案に首を傾げるハナ
…なんだよ、ダンデの奴…バトルタワーの話をハナにしてないのか?
「ダンデが経営してるバトルタワーに行って、ポケモンバトルでもして来いって言ってんだよ
…コイツらも結構、ストレスが溜まっちまってるみたいだしな…」
部屋の中にいるラティアス以外のハナのポケモンたちは大人しくしているが…
…どこか不満そうな表情をしていた
「…バトルねぇ…」
なかなか首を縦に振らないハナに違和感を感じたが、俺はそのまま話を続ける
「いーじゃねぇか!バトルタワーのあるシュートシティはガラル1の都会だぜ?
観光客も多いし、街並みも綺麗…「行くっ!」
ハナが突然、俺様の声を勢い良く遮った
…唐突過ぎて、俺様ちょっとびっくり…
「シュートシティってそんなに大都会になっていたのね!
真夜中だったから全然見てなかったけど…
…丁度良いわ!」
「…お、おう?」
…俺様はこの時、ハナが何を考えていたのかなんて全然、分かっていなかった…