ポケモン(長編)ダンデ

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さてさて!やってきました、シュートシティ!

わぁ〜…夜と違って昼間は賑やかね!
観光客も多いみたいだし…
キバナから眼鏡を借りといて良かったわ…
…正体がバレたら面倒だし

シュートシティの最新のファッションや髪型、メイク用品とかすっごく気になるけど…!
まずは…私の可愛いポケモンたちのストレスを発散させないとね!

そう思いながら自分のポケモン達が入ったモンスターボールを見つめて、早速バトルタワーに向かった…けど…


「えっ!?
…ガラルに生息しているポケモンのみ?!」


スタッフから説明を受ければ、まさかのガラルに生息しているポケモンのみしか使用出来ないと言われてしまう…

…私の手持ちのポケモンたちは殆ど、旅の中で出会った仲間だから…
もちろん参加する事は出来ない…


「仕方ないわね…
…帰ったらキバナに相手してもらおう…」


はぁ…と溜息を吐きながら、トボトボとバトルタワーを後にする
…ポケモンたちには申し訳ないけど…
先にガラルに戻ってきた目的をやりますか!


「…うん、この辺なら人通りも多い!
街並もお洒落だわ…良い感じ!」


シュートシティの中心部から少し離れた場所で街の景色を熱心に見渡す私

キバナから貰ったスマホで、この辺りの土地の管理者を調べ上げて不動産へと向かった


「…ええ、あの辺りで1番良い物件がいいの
はい?…保証人が必要?」


…お高そうな不動産でかれこれ1時間程、交渉を続けている…

運良く、丁度いい物件があってそこを借りようとしているんだけど…
…私がガラルでは知名度のないただのポケモントレーナーだから向こうも警戒しているのか、なかなか話が進まない…

困ったわね…どーしようかしら…
キバナを連れてくれば1発でOK出そうだけど…
…自分の力でやりたいのよね…仕方ない


「んー…頭金を多めに出しますから何とかして頂けません?
…このくらいあれば足りるかしら?」


スラスラと書類の横に大きな金額を書き出せばアッサリとOKが出た

契約が決まれば、リフォーム会社や設備を整える為に利用できそうな会社をいくつか教えてもらって店を出る

うん、なかなか良い所を借りれたわね…
…後はイメージ通りに内装作って、広告やHPも作らないと…!


そして…この日を境に私は忙しい日々を送る事になった

シュートシティとナックルシティを行き来して念入りに準備を進めていく…

ポケモンたちがストレスを溜めないように何度かキバナにポケモンバトルの相手をして貰ってたけど…

…それでも私のポケモンたちはコンテストとは違う純粋なバトルだけでは物足りないみたい…
部屋の隅にまとめて置いてある、コンテストで使っていたキラキラとした人目を惹く数々の衣装を見ては少し元気がない様子だった…

待ってて…!
もう少ししたら…またアナタたちを美しくしてあげれるから…!


「ふぅ…もう少しでOPEN出来そうね…!」


…シュートシティの少し外れにある、真新しい店の前で一息つく私
近くのカフェでテイクアウトしたコーヒーは冷めてしまっていて、香りが逃げていたけど…

…一口、口に含むと少し肩の荷が下りたような気分になった

…トップコーディネーターを引退した私がこのガラルでしたかった事…
それはガラルの人々にもっとポケモンの美しさを広める事だった

だからこうしてポケモンサロンを開こうと奮闘している…

現役時代からずっとこっそりと勉強を続けてポケモントリマーやブリーダーの資格も取得したし、店の経営だってスポンサーを通じて学ばせて貰っているから成功する自信しかない

…今のところはだけど…

不安が無いわけじゃない…
でも…トップコーディネーターで居る事に限界を感じた私が唯一、他にやりたいと思えた事だったから頑張りたかった


「…またダンデくんか…」


コーヒー片手に休憩をしていれば、私のスマホに着信が入った
…着信先を見ればダンデくんの文字…

…ダンデくんは私に良く電話やメッセージを飛ばしてくる…
忙しかったからテキトーに返事を返したり、放置したりしてたんだけど…

…それでも何日か経てばまた連絡が来る
てゆーか私の連絡先って取引してる会社以外にダンデくんとキバナしか居ないのに…

…揃いも揃ってどんだけメッセージを飛ばしてくんのよ?汗
通知がすんごく溜まってるんだけど!

流石にこれ以上は、シカトすると可哀想に思えてきて私は通話ボタンをタップした


「ハナ!?良かった…
全然、連絡がないから心配してたんだぜ!」


スマホ越しから聞こえてくるダンデくんの声は弾んでいた
…私、ただの友達でしょ?

…なんでそんな嬉しそうな声を出すのよ…


「ごめんごめん…ちょっと忙しくってさ
…最近、ようやく落ち着いてきた所なのよ
…あーでも流石に疲れたかな…」


ダンデくんの声を聞けばここ最近、ずっと気が張っていた私は不思議と気持ちが緩んでしまって…つい疲れたと口走ってしまった


「疲れてる?…それなら良い所があるんだ!
…今日、仕事が終わったら君に会いに行ってもいいだろうか?」


「良い所?
…んーそしたら19時くらいでいい?
シュートの広場前で待ってるわね」


開店準備も落ち着いてきたし、たまには遊びに行ってもいいかな…なんて思って軽い気持ちでOKを出した

そしてダンデくんとの通話を終えてからハッとして気付く…

私…門限19時だった…!!

ポケモンサロンの事はキバナに秘密にしているから、いつもキバナは私が何処で何をしているのか心配なようで、しょっちゅう半端ない数の連絡をしてくる…

…キバナに今日はホテルに泊まるってメッセージしとけば大丈夫かしら…
…うん、めんどくさいからメッセージだけ送ってスマホの電源切っちゃおう…汗
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