ポケモン(長編)ダンデ
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「…なぁ…お前、最近変じゃねぇか?」
「何のこと?…いつも通りなんだけど…」
そう言ってトボけた顔を見せる、俺様の妹であるハナは、モモンの実が混じったヨーグルトをパクッと口に入れた
「最近、よくボーッとしてんじゃねぇか!
…俺様の話もちゃんと聞いてねぇだろ?!
さっきからずっと「あー」とか「うん…」しか言ってねぇぞ!」
「あー…うん」
「今もかよっ!!」
おかしい…絶対に変だ…!
…いくら仕事が軌道に乗って忙しいからって家でここまで腑抜けなるか!?
さっきだって朝食のトーストにジャムじゃなくて、俺様のプロテインを振りかけてたぞ?!
…しかも普通に食ってるやがる…汗
…ハナがこの状態になっちまったのは、ダンデの家で打ち上げをしてからだ…
…あの時、早朝に叩き起こされて訳が分かんないまま帰ってきちまったが…
…絶対にダンデとなんかあったな…!?
クソッ…ダンデの野郎…!
俺様の妹に今度は何しやがったんだ…!
「あ、そーだ
私、明日から家出るから」
「おー…って今、なんて言った!!?」
頭の中でハナがこんな風になっちまった原因を考えていたら、ハナのとんでもない発言に反応が遅れちまった…!
慌てて聞き返したが…聞き間違いだよな…?
コイツ、今、家出るとかなんとか…
……言ってねーよな…?
「だから、明日からこの家出るから!
…シュートとナックルじゃ遠過ぎて通勤が大変なのよ
それじゃ、行ってきまーす」
…やっぱり、家出るって言ってんじゃねぇか!
突然の家出発言に硬直する俺を尻目にハナは、荷物を持ってさっさと家を出て行っちまう…
「ハッ…
…ダ、ダンデーーーっ!!」
俺はハナの不自然な様子も突然の家出発言も全てダンデが原因なんじゃねぇかって…
…そうとしか考えられなかった
…だからすぐさまスマホロトムを使っていつもの行きつけである、会員制のバーに今夜来るようにとメッセージを送る
…そしてそのまま、ムシャクシャとした気分でナックルスタジアムへと向かった…
「よぉ…ってお前…!!
顔、どーした?!寝てねぇのか!?」
ジムの仕事を早々に終わらせた俺は、朝のムシャクシャした気分のまま、馴染みのシュートシティにあるバーに先に来てダンデを待っていたんだが…
…現れたダンデの顔は悲惨…という言葉がピッタリな程、ゲッソリとしてやがる…!
ハナとなんかあったんじゃねぇかって問い詰めてやろうと思ってたが、それよりも親友であるダンデの不調を心配する気持ちが勝った
「顔…?
…それより話があって呼び出したんだろう?」
目の前でキョトンと首を傾げたダンデは俺様の隣のカウンター席に座るとすぐに本題を尋ねてくる…
…うっそだろ…
コイツ、自分の体調に気付いてねぇのか…!?
「いやいやいや…話もするけどよ…
お前の方こそ、どうしたんだよ…?
…顔がサニーゴみたいになってんぞ…」
まるでゴーストタイプのポケモンのように生気の無いダンデの顔は、正直に言って少し怖い…
「いや…何でもないんだ…
…気にしないでくれ…」
…しゅんと小さく俯いたダンデは詮索されたくないようだった…
「話したくないなら無理に聞かねーけどよ…
…俺様の話はな…実はハナがお前ん家に行ってからなんか様子がおかしくって…」
俺が自分の要件を口に出せば、ハナの名前を聞いた途端にダンデがピクッと反応した
…つーか冷や汗、垂れてんぞ…
あ〜…やっぱりかよ…
…ダンデのこの不調な様子もあの打ち上げの日が原因で間違いねぇな…
ったく…ハナもダンデも俺様が寝てる間に何があったんだよ!
原因が分からない俺様は、モヤモヤして持っていたウイスキーをグイッと飲み干した
カラン…と氷と氷がぶつかる音がして空になったグラスを置く
マスターに新しい酒を頼むと同時にいつもダンデがこの店で頼んでる、ウォッカベースのカクテルも頼もうとしたんだが…
…横から慌てた様子でダンデが口を挟んだ
「俺はいい!
…ノンアルコールの物を適当にくれないか?」
「…え…お前、禁酒してんの?」
ノンアルコール飲料を頼む、ダンデに俺は少し驚いた
…ハナには惨敗したが、俺もダンデも元々良く酒を飲む方だし…
つーか、スポンサーとの接待とかで2人して酒の味を覚えちまったせいなんだけどよ…
「あぁ…
…どうやら俺は酒癖が悪いようだからな…」
そう言ったダンデは眉を少しハの字に変えて、気難しそうな表情を浮かべていたが…
…俺はダンデの発言に違和感しか感じなかった
「酒癖が悪い?…なに言ってんだ?
お前、酔い潰れても寝るだけじゃねぇか!
…お開きになって起こしても、いつもと変わらない様子でリザードンと帰ってくぜ?」
「えっ…!?」
目を丸くさせながら勢い良く俺様の顔を見るダンデは、少し戸惑っているようだった
「…一体、誰にそんな事、言われたんだ?
お前が酒で醜態を晒してる所なんて俺様ですら見たことねーよ」
丁度、マスターが新しいウイスキーを持ってきてくれたので、口をつけながらダンデに問い掛ける
…うーんと一瞬、悩んだダンデだったが、ぽつりぽつりと話をし始めた…