ポケモン(長編)ダンデ
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「な、何か温かい飲み物でも…「嫌っ!ここに居て!?」…わ、分かった…」
俺は今、とんでもない状況に置かれている…汗
…先程から俺の腰に手を回して膝の上で震えながら丸まっているのは…紛れもなくハナだ…
…キバナに見られたら間違いなく、絞められるだろうから先に説明しよう…
事の発端はハナからの着信だった
半狂乱状態で叫ぶように言葉を発しては突如、悲鳴をあげるものだから俺は慌てて彼女の部屋に行ったんだ…
…強盗でも入ったんじゃないかと思ってな…
そしたら玄関は鍵が掛かってなくて、扉の目の前には大泣きしているハナが居て…
…俺の姿を見た途端に抱き着いてきたんだ…!
俺は彼女を抱き止めながら、部屋の中を見渡したが…どうやら彼女以外に誰も居ないらしい…
不審者か強盗でも入って来たんじゃないかと思っていた俺は訳が分からなくて…
…とにかく泣きじゃくるハナに話を聞こうと思って顔を覗き込んだんだ…
その時!
…窓から眩い光がフラッシュしたかと思えば、ドカーンッ!!って大きな落雷音が鳴って…!
「いやぁぁあああ!!」
…ハナの甲高い悲鳴も鳴り響いたんだ…汗
「か…雷が怖いのか…?」
呆気にとられる俺を見ずに俺の胸に顔を埋めながら、何度もコクコクと顔を縦に動かすハナ
彼女の部屋の中は今日引っ越してきたばかりだからか、カーテンすら付けられていなくて…
…俺の部屋よりも殺風景な部屋だった…
心底怯えているハナを1人で部屋に残すなんて俺には到底出来ない…
…それに俺に電話を掛けて助けを求めてくれたことが嬉しくて、そのまま俺の部屋まで連れてきたんだが…
…どうしたらいいんだ…
ハナがしがみついて一向に離れてくれない…
…まるで幼い頃のホップみたいなんだが…汗
ビッックリする程のゼロ距離に頭がパンクしそうだったが、彼女は本当に雷が怖いようで顔は涙でぐしゃぐしゃだった…
…オマケに雷が鳴る度に彼女の口から悲鳴が上がるものだから、こっちは段々と冷静になってしまう…汗
ん…この香りは…?
…それに何か柔らかい物が…
段々と落ち着いて冷静になった俺は気付いてしまった…いや、むしろ気付きたくなかった…!
ハナからシャンプーの良い香りがする…!
…絶対に風呂上がりだ…!
し、しかも…この感触は…!!
飲み物を取りに行くと言って俺は慌てて離れようとしたんだが…見事に失敗に終わっていた…
ま、まずいぞ…どーする…!?
この状況じゃいくら俺でも反応しかねない…!
そ、それだけはダメだ…!
今、ハナの顔が俺の腹筋辺りに引っ付いているんだぞ!?
絶対にバレる…!!
…それだけは本当に嫌なんだぜっ…!!
うぅ…キバナが居てくれたら…!
キバナのコータスならひでりの特性を持っているから外を晴れに変えられるのに…!
とゆーか雷が怖いとか可愛い過ぎるだろう…!
普段、あんなに強気なハナにこんな弱点が…
…ってそーじゃない!落ち着け、俺!
俗に言う、ギャップというものを目の前で体感しているのだが、そんな言葉の意味など知る由もない俺は平静を保とうと必死だった…!
「ハナ…大丈夫だぜ!
きっとすぐに止むから…」
幼い頃のホップをあやしていた時のように柔らかい声のトーンで、ハナの背中を撫でながら言葉をかける…
…ふるふると震える背中がとても小さくて…
俺がハナを守ってあげたい…とそう思った…
「本当にごめんなさい…」
「気にしなくでくれ
…それより目を冷やした方がいいな…
腫れてしまってる…」
しばらくして雷が鳴り止み、ポツポツと勢いの弱まった雨に変わるとハナは落ち着きを取り戻した
…そこからずっと真っ青な顔をして落ち込んでしまっている…
声を掛けても謝罪の言葉しか言ってこない…
俺は迷惑だなんて思っていないんだが…
むしろ、俺を頼りにしてくれて嬉しかった
…ある意味、修行になったけどな…汗
冷水で濡らして絞ったタオルを用意して、俺はハナの腫れてしまった瞳にピトッと当てた
「っ…!」
「あっ…すまない!…冷た過ぎたか?」
ピクッと反応したハナは、赤くなってしまった瞳を俺から逸らす
「じ、自分でやる…!」
俺の手からタオルを受け取ったハナは隠れるように目を全て覆っていた…
その間に何か温かい物でも用意しようとキッチンに向かえば、ポケモン達用に買っておいたモーモーミルクがあったのでホットミルクにした
…温めるだけなら俺にも出来るし…
「あ…それ…」
「ん?…あぁ、キミがくれたマグカップだ
…俺には少し可愛過ぎるかも知れないが…
リザードンがモチーフになってるから気に入ってしまったんだ」
ホットミルクを先程、ハナから貰ったリザードンのマグカップに入れて持って来れば、ハナが反応を示す
ニカっと笑ってホットミルクを差し出せば、小さくお礼を言ったハナの頬が少し赤くなった気がした…