ポケモン(長編)ダンデ

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聞いてくれ…
…俺様、現在進行形でスッゲー困ってんだ…

何に困ってるって?
そりゃもう…あのバカップルにだよっ!怒


「ハナ、そっちの荷物も俺が持つぜ」


「え?だめよ…
…ダンデくんの両手が塞がっちゃうじゃない」


「そ、そうか…」


ハナを気遣って荷物を持とうとするダンデに、これ以上荷物を持って貰うと手が繋げなくなるから…
…という甘過ぎる理由で断るハナ…

お前らここは空港だぞっ!?
人目を気にしろよ、このバカップル!!怒

つーか実の兄の前でイチャつくんじゃねぇー!
あ〜…俺様のハナがあんなに乙女ちっくな顔をするなんてよ…

…初めて見たわ

なんだよ…
…そんなにダンデの事が好きなのかよ…


あのパーティのポケモンバトルが終わった後…

…俺様はダイゴと酒を酌み交わしながらハナの現役時代の話を聞いていたんだが…

ハナは恋愛に染まるようなタイプではなく、ポケモンコンテスト一筋で自分の事ですら後回しにしまくるような奴だったらしい…

…当時の彼氏であったダイゴですら月に1度、会えるか会えないかのレベルで放置されてたって聞いてたんだが…

…全然、話と違うじゃねぇかっ!!

パーティが終わった後もダンデはハナの側から片時も離れねぇし、ハナは俺様の事が見えてないんじゃねぇかってくらい、ダンデとばっかり話してるし!!

…おまけにホテルに戻ったら戻ったでダンデから止まらない質問の嵐を受ける羽目になっちまったんだよな…汗


「ハナの好きな食べ物はなんだ?」
「好きな色は何色だろうか…」
「幼い頃はどんな子供だったんだ?」


…って朝方になるまで質問されまくって俺様、超寝不足なんだが…
つーかなんでダンデはそんなに元気なんだよ…

…お前も寝てなかっただろ…汗


「キバナ?そろそろ飛行機に乗るわよ?」


ダンデとしっかり手を繋いだままで、くるっと頭だけ俺様の方へと向けるハナ

…空気扱いされてんな…
と思ってた俺はハナに話しかけられて少しだけ安心した

…安心してたんだが…汗


「キ…キバナ…
…俺は何かしてしまったのだろうか…」


長い長いフライトを終えて、ガラル地方に到着した途端だった

…ホウエン地方に居た時は、あれだけダンデの隣から離れなかったハナが…
…ガラル地方に戻ってきた途端に手を繋ぐことすら拒絶し始めたんだ…汗

おまけに…


「一定の距離を保って歩いてちょうだい!」


…だそうだ

急にハナに拒絶されたダンデは困惑とショックで落ち着きがない
…さっきから俺様に助けを求めて情け無ぇ面になっちまってるし…汗


「悪い…今回は流石に俺様でも分からねぇ…
…ハナは気分屋なとこがあるからな…
四六時中、お前にくっつかれてウザくなったんじゃねぇか?」


何も考えずに思った事を口に出せば、ダンデが更にショックを受けた
ガーン…っていう音が聞こえてきそうなくらい落ち込んでるし、ダンデの周囲だけ空気がどんよりとしてやがる…汗


「お、俺は…う、ウザいのか…」


やっべ…
…ダンデの奴、ガチでへこんでるな…汗


「ダ、ダンデ、あくまで俺の考えだから!
だから落ち込むなって!
…お前ら、付き合ってるんだし、ハナに理由を聞いてみろって!なっ?」


あまりのダンデの落ち込み様に慌てて、慰めの言葉を掛けたけどよ…
…なんで俺様が最愛の妹の彼氏をサポートしなきゃいけねーんだ…?汗

こっちはハナの彼氏があのダンデってだけで、もうお腹いっぱいなんだよ!
…つーか俺様の妹だぞ!?

交際してるともなれば、あんな事やこんな事をダンデとハナが…

…やっぱり気に入らねぇ!!!泣

頼む…避妊だけは絶対にしてくれ…
…ダンデと義兄弟とか俺様、耐えられねぇよ…


「だが…避けられてるのに理由を聞くのか?
…ハナに嫌われたくないんだ…」


しゅんと落ち込むダンデはハナには弱気になっちまうらしい…

うっわ、マジかよダンデ…!
…いつもの冷静で自信満々なお前は何処に行きやがったんだ?!

ハナは別にお前の事を嫌って避けてる訳じゃねぇんだよ!
そこは嫌でも俺様には分かっちまうの!


「…嫌ってたら付き合わねーって
…つーか…俺様に聞くばかりじゃなくて、お前からハナに向き合えよ…
…ハナの彼氏だろ」


「…キミのいう通り…だな…
…分かった、なんとかやってみるぜ」


そう意気込むダンデだったが…
…結局、ダンデはバトルタワーに戻るまでハナから距離を取られたままだった…

流石に見てられなくなった俺様はハナにそれとなく理由を聞こうとしたんだが…


「疲れたから先に帰るわね!」


…ってハナはさっさと帰っちまって何も聞くことが出来なかった…
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