ポケモン(長編)ダンデ

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だ、駄目だ…
…ハナに避けられている理由が俺には全く分からない…!

ホウエン地方に居るまではずっと隣に居たし、手だって繋いでいたというのに…
…ガラルに戻ってきた途端に近付く事すら許してくれないなんて…!

昨日のパーティで彼女の口から聞いた、好きという言葉は俺の夢だったのか…?!

いや違う…!
確かに好きだと返事を貰えたし、あの後のキスの感触だってちゃんと覚えてる…!

なのに…一体、俺は何をやらかしたんだ!?

…キバナの言う通り、距離が近過ぎて俺をウザく感じてしまったのか…?!
だが…俺はキミから離れたくないし、周りの男達がハナを熱い視線で見るなんて嫌なんだ!

…キミは…俺の恋人だというのにっ…!


「…これだけまとめたらもう帰ろう…」


溜息を吐きながら、自分のデスク上にある書類を整理していく
…ホウエン地方で行った合同会議の内容をまとめた書類だが、キバナ以外の各ジムリーダー達にも内容を把握して貰う必要があった

…ポケモンの密猟や虐待といった悍しい行為がこのガラルに必ずないとは言えないからな…

厳重に注意はしているが、ワイルドエリア内で酷く弱ったポケモンを見かける事が稀にある…

自然が豊かなこのガラルの地でポケモン同士の縄張り争いが起きるのなら分かるが…

…明らかに人の手によって傷付けられたポケモンが倒れていたりする…

だから各ジムリーダー達にはジムの運営だけでなく、ワイルドエリアの見回りも頻繁に行って貰っていた

それに…今回の合同会議で人のポケモンを盗む悪い組織が居ると耳にしている…
その組織の詳細や目的も詳しく聞くことが出来たが…

…その組織がこのガラルの土地に進出してくる可能性が必ず無いとは言い切れない…
もしそうなれば…この件は俺とキバナ、そして現チャンピオンのマサルと協力して跡形もなく潰すつもりだ…

…しかし、現段階では情報が少な過ぎる…
リーグ委員会やジムリーダーを総員し、情報を集め、厳重に警戒する必要があるな…

何も無ければ良いのだが…もし、最悪の事態が発生してしまえばハナのポケモンサロンには行けなくなるだろう…
…自宅にもなかなか帰れなくなるかも知れないから会うことも出来ない…


「…ん?」


重々しく悩んでいたら俺のスマホロトムにメッセージが届いた

画面に表示されている名前は…ハナだ!


「…えっ!?」


メッセージの内容を呼んだ俺は思わず、驚嘆の声をあげる

…内容には仕事が終わったら家に来て欲しいと書いてあったからだ…

俺の事を避けていたのでは無かったのか?!
それより…ホントにハナの家に俺が行ってもいいのか!?

1度だけハナの部屋の玄関までなら入ったことがあるんだが…
…あの時は雷に怯えた彼女がパニックを起こしていて呼ばれて行った訳ではないし…

と、とにかく出来るだけ早く帰ろう…!

ソワソワとしてしまって落ち着かなかったが、書類をまとめ上げて部下に送付を頼むと俺は、リザードンの背に乗って自宅のあるマンションへと急いだ…


「お疲れ様、ダンデくん!」


ハナの部屋のインターフォンを鳴らせば、明るい顔の彼女が出迎えてくれた
…その姿に心底、俺はホッとしてしまう

…昼間は理由も分からないまま、ずっと避けられてしまっていたからな…


「あぁ、ありがとう
……入ってもいいのか…?」


「…?
当たり前でしょ?なに言ってるの?」


入室を躊躇っていたんだが、ハナは首を傾げながら俺を部屋の中に案内してくれる

…前よりも家具やインテリアが揃ってシンプルだが、過ごしやすそうな部屋に変わっていた


「夕食を作って待ってたのよ
お腹空いてる?もしかして食べちゃった?」


「いや、食べてない!
それに腹も空いてるぜ!」


部屋に入ってから空腹を刺激するような美味そうな匂いがしていた
…ハナが俺の為に手料理を用意してくれていただなんて…!

まいったな…凄く嬉しい!

ハナの行動に驚きつつも、頬を緩ませて過剰に反応するとクスクスとハナは笑っていた


「良かった!たくさん食べてね」


テーブルに並べられた栄養バランスのよく考えられた料理にぽわぽわと気持ちが温かくなる…

ハナは…ちゃんと俺の事を考えて想ってくれているんだ…
…幸せ過ぎて顔が緩んでしまうな…


「…なぁハナ…
その…ひとつ、聞きたいことがあるんだが…」


ハナの作ってくれた料理を綺麗に平らげるとお礼を伝え、食器を片付けにキッチンへと向かうハナを俺は追い掛けた


「…どうしたのよ?」


カチャカチャと食器を洗う音がキッチンに響く中、ハナが不思議そうに俺を見つめている…


「…どうして…俺を避けていたんだ…?」


呟くように俺の口から放たれた言葉にハナはピクッと肩を揺らす
…そしてキュッと水を止めると俺の方を向いて苦笑いを浮かべていた


「…部屋で待ってて?
これ、片付けたら説明するから」


それだけ言うと再び、食器を洗い出したハナ

…俺は大人しく彼女の部屋に戻ったが…
気持ちは曇り空のようにモヤモヤとしていた…
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