ポケモン(長編)ダンデ

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ま、まずい…!
生理のことすっかり忘れてた…!汗

普段はイライラしたり、微妙にお腹が痛くなったりするから生理がくるタイミングが分かるんだけど…

…今はキバナの体だから快適過ぎて全然気にしてなかった…!汗


「キ、キバナ!ハナはどうしたんだ?!
もしかして…悪い病気なのか!?
…き、救急車を呼ばなくては…!」


目の前でソワソワと落ち着かないダンデくんはスマホロトムを取り出せば迷うことなく緊急の電話を掛けようとしている…!


「大丈夫!大丈夫だからっ!!」


慌ててダンデくんのスマホロトムを奪って通話を無理矢理に切る


「ハナが…!
あんなに苦しそうにしているんだぞ!?
君は心配じゃないのかっ?!」


ガシッ!と私の…てゆーかキバナの肩を乱暴に掴むダンデくんは必死に訴えてきたけど…

生理痛程度で救急車を呼ぶとかバカげてる!
大体、キバナも大袈裟過ぎよっ!

…あんなの、冷たい物を控えて薬さえちゃんと飲めば普通に耐えれ……あっ…


「…薬…まずい、家にある…」


「薬っ?!ハナはやはり病気なのか!?」


「違うから!落ち着いてダンデくん!
私が薬を買ってくるからお湯を沸かして湯たんぽを用意しといてちょうだい!」


「んっ!?…キ、キバナ…?」


「いーから早く!!」


ビシッと言い放てば目の前でダンデくんが酷く困惑していたけど…

そんな場合じゃない!
…私は生理痛が他の人よりだいぶ重いのよ…!

薬なしの1日目は相当ヤバい…!
女性特有の痛みに慣れてないキバナからしたらなかなかの拷問のハズ…!

そのまま私は自分の財布を手に取ってショップへと走り出した…


「あ、それはハナの…!」


…後ろでダンデくんが何か言ってるような気がするけど、後回し!
今はキバナの方が大事よっ…!


ショップに着いた私は生理用品や薬やらを手早く買い、すぐにキバナの家に向かって再び走る

…キバナの身体…凄いわね?汗
こんなに早く走れるし、全然疲れないし…


「お待たせ!
ダンデくん、湯たんぽ用意できた?!」


「あ、あぁ…用意はしたが…」


「ありがとっ!」


混乱した表情を浮かべるダンデくんの手から湯たんぽを奪うように受け取れば、階段を駆け上がりキバナの寝室に入った


「キバナ!大丈夫?!
これ飲んだら少しは楽になるから!」


「っ…ハナ…わ、悪い…」


ぐったりしている自分の姿に今回は相当重い方だわ…と思いながらもゆっくりと上体を起こさせてキバナに薬を飲ませる…

…腹部にダンデくんの用意した湯たんぽを乗せて、ベッドが汚れないようにタオルをシーツの上に敷いた


「て、手慣れてるわね…キバナさん…」


ピクピクと顔を引きつらせたダンデくんの幼馴染の声に振り返った私はハッとして…
…ようやく冷静になった…

……私…さっきまで普通に喋ってたような…
ダンデくんにも…普段の口調で話してた…?汗

…体から滝のように冷や汗が流れる…
寝室の扉の近くには困惑して落ち着かない様子のダンデくんが居て…

…私がキバナの看病をしている所をガッツリと目撃されていた…


「つまり…キバナさんとハナさんは…
…中身が入れ替わっちゃってるのね?」


「「…はい」」


…これ以上、隠しきれないと察した私は薬を飲んでだいぶ落ち着いてきたキバナと共に事情聴取を受けている…

…事情を理解したソニアさんは何故かわくわくとした目線を私とキバナに向けていて…
…ダンデくんは片手で顔を覆いながら俯いてしまってピクリとも動かない…汗


「…わ、悪いハナ…
ここまで生理がキツいなんて思わなくてよ…」


「ううん…私もすっかり忘れてたから…
ごめんね…キバナの方こそ辛かったでしょ?」


「うっ…なんか今、俺様の涙腺がおかしいから優しくしないでくれ…」


布団の中へと隠れるように潜り込んだキバナはだいぶ落ち着いてきたとはいえ、まだ具合は悪そうだった…
…しかも情緒不安定になってる…汗


「…ハナがキバナで…キバナがハナ…?
…俺は今まで…ハナじゃない相手にこんなに悩んでいたのか…?」


ようやく顔を上げたかと思えば、ダンデくんはふらふらとしながら私とキバナを交互に何度も見つめていた…

あー…ダンデくんがパニックになってる…汗


「ダイマックスバンドが原因だっけ?
…ちょっと貸してくれる?」


言われるままに手首からダイマックスバンドを外せば、ソニアさんに差し出す


「…壊れてるわね…
ここをこーして……はい、出来た!」


「あ、ありがとう…」


手慣れた様子でダイマックスバンドを弄れば、にこっと可愛らしい笑みを向けて返却してくるソニアさん…
…こんな可愛いくて優しい子が幼馴染なんて!

…ダンデくんのバーカ…

不貞腐れた嫉妬心が顔を出しそうになりながらも直ったダイマックスバンドを腕に装着した…

…時だった


「えっ…!?」


寝室いっぱいに眩い光が広がったかと思えば…

…私の視界は真っ暗に変わっていた…
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