ポケモン(長編)キバナ

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スポンサーとの契約規約の書類に目を通してたらすっかり遅くなっちまったぜ…

ネズのスポンサー会社は1社のみだから俺様ほど時間は掛からなかったようで終わったらさっさと帰っちまうし…
…俺様も早く帰ろう…サクラに早く会いてぇ

フライゴンの背に乗り、家まで頼むと言えば元気な鳴き声をあげて上空へと飛び立つ

スマホロトムを見ればなにやらSNSが騒がしかった
…俺様、今日は何も投稿してねぇのに…

ここまで騒がしいのも珍しいので興味本位で開けば俺様は目を見開く
…騒がれていた投稿はチャンピオンダンデと黒髪女性の写真だった

一般人がした投稿だったが、ガラルチャンピオンのダンデの女性ネタとなると次々とコメントが飛び交う

顔までは流石に撮られてなかったが…
…どー見てもサクラで間違い無いだろう

なんでまたダンデと2人きりで会ってんだよ?!
ネズに相談してやっと気持ちが落ち着いたっていうのに…!

つーかダンデの野郎…!
有名人なんだからSNSくらい警戒しとけよっ!
俺様だってサクラと歩くときはサングラス掛けるなりして気ぃ張ってんのに!

…あーまたモヤモヤしてきちまった

俺が不機嫌になったのを察したのか、フライゴンはスピードを上げて家まで飛んで行く

スマホロトムをかざして家のロックを外す
…電気はついていない
もうサクラは寝ちまったのか…

俺様は気持ちを落ち着かせようと思ってそのまま風呂に直行した

服を脱いで風呂場の電気を付けて扉を開けるとまさかのサクラが入浴中で…
…バッチリ目が合ったが、突然のことにお互い硬直してしまう
口を先に開いたのはサクラだった


「キャーっ!キバナさん!?
ど、どーして入ってくるんですかーっ?!」


「な…なんで電気付けねぇーんだっ!?
気付くわけないだろ?!」


「アロマのロウソク使ってたんです!
電気消すに決まってるじゃないですかーっ!
とゆーか出てってくださいっ!!」


片手で胸を隠しながら真っ赤な顔で叫ぶサクラは近くにあった石鹸を俺様に向かって投げつけてきやがった…!

慌てて扉を閉めて風呂場から離れたが…

マジかよ…こんなハプニングが起こるなんて、思わなかった…!
流石に今は…俺様、顔が真っ赤だと思うぜ…

サクラ…結構、胸デカかったな…

さっきまでイライラとモヤモヤがぐちゃぐちゃだったのにアイツのあんな姿を見たらどっかに吹っ飛んじまった…

リビングで気持ちを落ち着かせていたらサクラが階段を駆け上がる音が聞こえたからようやく風呂に入れた

…今日はもうアイツと話すの無理かもなぁ…
ま、いーもん見れたし…

風呂から上がって自室に戻れば今日の会議で受け取った書類に目を通す
…が、さっきのアイツの姿が頭の中で永遠にリピートされてて全く集中出来ない


「明日やるか…」


溜息混じりに声を出してベッドに倒れ込んだ

…本当はサクラにダンデのことやどうしてジムチャレンジにこだわっているのか、俺様のためだったりするのかとか聞きたい事ばかりあった

けど…さっきのこともあるしなぁ…
…どんな顔して聞いたらいいのか分かんねぇ…

そんな事を考えていたらコンコンとドアのノック音が聞こえる
カチャっと小さく音がして扉が開けば顔の赤いサクラがこちらを見ていた

ベッドに寝転んでいた俺は慌てて上体を起こしてベッドに腰掛け直した


「あー…さっきは悪かった」


目線を逸らしながら後ろ頭を掻く
正直、今は気まずい…


「い、いえ…私の方こそ…
…入ってもいいですか…?」


「あ、あぁ…いいぜ?」


サクラが俺様の部屋に来る事は滅多にない
仕事の邪魔をしたくないからだと思うが…
…さっきのこともあるから今はサクラも気まずいだろうに…
一体、どうしたんだ…?

俺から部屋に入る許可を貰えば俺の横に座る
ギュっと膝の上で手を握りしめていて俺の方を見ないサクラ
…何を考えているの全く分からなくてなんだが落ち着かねぇ…


「あの…キバナさんは私がここにいると迷惑じゃないですか…?
その…私の事を気に掛けてくれるのはすごく嬉しいんですが…」


ボソッと小さな声で下を向いたままサクラが口を開いた

迷惑…?…何を言ってんだよ…


「そ、それに!
私がキバナさんの家で居候してるなんて彼女さんにバレたらまずいんじゃないですか…?」


「は…はぁっ?!
ちょっと待て…彼女って何だよ!?」


重い雰囲気の中、サクラがしおれた様子で話すから黙って聞いていれば…
…何がどうなったら俺様に彼女がいるってなったんだよ…
意味の分からない発言に思わず声が出た


「…?
昨日の夜遅くに、カッコいい服装して出掛けて行ったじゃないですか…」


「…俺様の私服は大体あんな感じなんだが…
昨日の夜は同じジムリーダー仲間に相談があって会いに行ってきただけだぜ?
それに…俺様、彼女居ねぇよ」
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