ポケモン(長編)キバナ

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今日は開会式が行われる日なので俺はエンジンシティへと来ていた

弟のホップの選手登録を見届けたくてな!
…エンジンシティの入口付近で待ち合わせをしているんだが…

エンジンシティの入口付近に到着すればポケモン同士のバトル音が聞こえてくる
つい、足を運んでポケモンバトルを観戦しようとしたらバトルをしていたのはホップとサクラだった

…俺に気付かないで2人はポケモンバトルに夢中になっている
勝敗がついたところでようやく俺も声をかけた


「もうポケモンを捕まえた上に進化までしたのか?すごいな!」


俺が後ろから声をかければサクラがこちらを見て嬉しそうな笑顔を向けてくるからそんな姿が白百合のように可愛らしかった

…でもキバナと付き合っているんだよな…
俺を頼ってくれたのはホップのように兄貴として見ているからなのだろうか…


「え!?兄貴が道に迷ってないなんて変だぞ!
時間通りに待ち合わせ場所に来れるなんて絶対おかしい!」


…ホップが失礼な事を言ってきたので考えるのをやめた
そしてホップの頭をガシガシと荒めに撫でる


「俺だっていつも迷っているわけじゃないぜ!
今日は開会式だから早朝からエンジンシティに来てたんだ!」


「えっ…それってダンデさん、今まで迷子だったってことじゃあ…」


「…約束の時間には間に合ったからセーフだ」


サクラからツッコミが入ってきた
…実は言うと迷子だった俺は冷や汗気味に返事を返す


「と、とにかく!開会式前に選手登録をしないとな!さあ、行こう」


俺は2人を連れて会場であるエンジンスタジアムへと向かう


「わ〜…エンジンシティのスタジアム…
…すっごくおっきい…」


スタジアムの前まで来ればサクラが声を漏らした
確かにエンジンシティのスタジアムは大きく、この街の名所と言っても過言ではない


「開会式を行うにはこれくらい広くないとな!
さぁ、選手登録をしたらいよいよジムチャレンジャーだ」


スタジアムの中に入り、受付に声をかける
今日は開会式の為、スタジアム内は人が溢れかえっていた


「こ…こんなにたくさんジムチャレンジャーが居るのか!?
…俺!なんかワクワクしてきたぞ!!」


武者震いを抑え切れていないホップが先に受付を済ませる
背番号は「189」
…前々から背番号を決めていたようで飛躍という意味だそうだ
ホップらしいな!

ホップの受付が終われば次はサクラの番
しかし…何やら悩み中で困ったような表情を浮かべている…


「サクラ?どうしたんだ?」


「うーん…背番号、すっかり忘れてて決めてなかったんです…どーしよう…」


首を傾げて困った顔をしているサクラ
…俺は1番を目指していたから「1」
背番号には何かしらの意味を含ませるトレーナーが多い…確かに悩むよな…


「サクラ!俺は「777」がいいと思うぞ!
ラッキーセブンって言うだろ!」


横で話を聞いていたホップがにっししと笑いながらテキトーな事を言うもんだから
そんな簡単に決めれるものじゃない…と口を挟もうとしたが…


「あっ!いいね、ラッキーセブン!
幸運が訪れそう!ホップくん、ありがとう!
すいませーん、「777」でお願いしまーす!」


ってサクラが言うもんだから流石に驚いた
…果たして本当にそんなに簡単に決めて良いのだろうか…

ま、悪い数字ではない、むしろ景気良さそうだ

…ホップがサクラの背番号を決めたって言うのは少し悔しい気もするが…


そのまま無事に選手登録を終えた2人は選手として開会式に参加する為に待合室へ移動して行く

俺もチャンピオンとして開会式に参加するので関係者のみと書かれた別室へと向かった

中に入ればガラルのジムリーダーたちが勢揃いしている
…ネズだけは来ていないようだな…
彼は何故…毎回、開会式に来ないんだ…


「…サクラ、ちゃんと選手登録出来たのか?」


俺に声を掛けて来たのはキバナだった
…キバナの心中はまだきっと複雑だろう…


「あぁ、さっきホップと一緒にな
今は待合室に居る」


「そうか…色々とありがとな、ダンデ」


お礼を言ってくるキバナに俺は正直、驚いた

…サクラがキバナの元を離れてからジムチャレンジをサポートしたのは俺だ
俺のサクラに対する想いも知っている…
…そんな状況の中でキバナの立場からすれば気に入らないに決まっていた


「…んな驚くなよな
サクラが決めた事だ…俺様はアイツが戻ってくるのを待つって決めたんだよ」


そう言ってふわっとした表情で微笑むキバナ

…サクラを大事に想っているからこそだろうか
そうやってサクラを待つと信じているキバナが少し羨ましかった…
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