ポケモン(長編)ダンデ

□1
2ページ/7ページ



「スコッチウイスキー?
あはは!アルコール濃度40%もあるんだけど!」


店に入ってカウンターに座り、バーテンダーに「とりあえずおススメをお願い!」と言えば、出て来たのはウイスキー

ボトルの表示を見ればアルコール度数が40%と書いてあった

ガラルなら私の正体を知る人なんて殆ど居ないから好きなだけ何処で誰と飲んでも大した問題にはならない
…最高


「ほら、お兄さん!乾杯!」


「……君は初めて会った男性とそんなに気軽に酒を呑むのか?」


一応、グラスを持ってカチンと乾杯してくれたけど…
…どうやらこのお兄さんは女性と遊び慣れていないらしい…

周りには他のお客さんなんて片手で数えられるくらいしか居ないのに…


「お酒を誰かと呑むのに理由なんて必要なの?
…別に取って食べようってわけじゃないし」


コクンと一口ウイスキーを飲み込みながら言葉を返す


「ぶっ…!」


私の言葉にウイスキーを吹くお兄さん
…うん、彼は童貞で間違い無いわね


「それより!私、ガラルって10年振りなのよ!
最近のガラルってどんな感じなの?」


「え?…あぁ…チャンピオンが新しく変わってポケモントレーナーが増えたな…
少し前にムゲンダイナっていう伝説のポケモンが現れて問題になったが…」


私のペースに巻き込まれたお兄さんは私の質問に答える形で話してくれる

最近のガラルの様子を話して貰えば、目を輝かせる私
お兄さんの話を食い気味に聞いていた

…そして時間と共にお互い、酒も順調に進んできてしまって…


「そう…昔と変わらず、ガラル地方はポケモンバトルが熱狂し続けているのね…
…ポケモンコンテストがガラルにもあったら、良かったのに…」


「…ポケモンコンテスト?」


アルコールのせいで少し、頬を赤く染めたお兄さんが首を傾げながら私の言葉を繰り返す


「…簡単に言ったらポケモン本来の魅力を競う大会の事よ!
ポケモンの美しさを披露して人を魅了するの!
…ガラルではあまり知られてないんだけどね」


そう…ガラル地方は私の大好きなポケモンコンテストの認知が低い…
…だからもっと大勢の人々にポケモンの魅力を広めるために帰って来たってのも理由のひとつなんだけど…


「ポケモンコンテスト…ポケモンの美しさか…
…確かにガラルではバトルが主流だからな…」


「そうなのよ!悔しい〜!ポケモンにだって種族やタイプが違うように色んな性格の子が居て好きなものも違うっていうのに!
バトルだけじゃもったいなーい!
いや、バトルもコンテストでするけどさ!」


酔っ払っている私は半べそ気味に言葉を投げる


「ポケモンバトルもするのか!
なるほど、ポケモンコンテストというのは奥が深そうだな!」


ポケモンコンテストでバトルもすると聞けば、目を輝かせるお兄さん
…チラッと彼のオーナー服の間からモンスターボールが見える


「…お兄さん、ポケモントレーナーなのね…
残念!昼間に会ってたらポケモンバトルをして私の美しいポケモン達を見せれたのに…」


お兄さんのオーナー服からチラッと見えるモンスターボールを指で軽く突きながら、へらっと気の抜けた笑顔を向けた


「君のポケモンも気になるが…
…美しいものならもう見ている…だから…
こんなに気安く男と呑んだらダメだぜ…
…自分が今、どんな顔を男に見せてしまってるのか…気付いてないのか?」


この男…シャイボーイかと思ってたけど…
…なかなかの口説き文句ね…


「…ちょっと酔っちゃったみたい…」


久しぶりの飲酒でいつもより酒のまわりが早いのだと彼の言葉で気付いた
クスッと小さく微笑んで見せれば、店員にお冷を頼もうとする彼の手を握ってそっと止めた


「…今日は飲みたい気分なのよ
…朝まで付き合ってくれるんでしょ?」


「…流石に酔った女性を1人にするわけにはいかないからな」


「うっわ!意地悪!」


ケラケラと笑っては再度、お酒を酌み交わした

初対面だと言うのに気軽に話せる程、彼は人柄も良くて包み込むような優しさを持っていた

なんていうんだろう…
…フィーリングが合うっていうの?

…こんなに楽しいのも気軽に酔えるのも心地よくって時間が止まって欲しいくらいだった…


「う〜…飲み過ぎた…」


「俺もだ…」


真夜中に肩を取り合いながらフラフラと人気のない道を歩く…
…結構呑んでしまった私は履いている高いヒールが歩き難くて、彼にもたれてしまっている…

彼も結構酔っているようで…
…2人して足元が若干、フラフラしていた


「お兄さん、筋肉凄ーい!
どんだけ鍛えてんのよ!」


もたれ掛かった時に触れた彼の身体はガッシリとしていて如何にも男!というような立派な体格をしている
…酔った勢いでペタペタと彼に触れていれば、ガシッと手を掴まれた


「すまない…あまり触れられると…」


目線を上に向ければ真っ赤な顔をしたお兄さんの顔…酒のせいだけではない

彼の黄金の瞳には熱がこもっていて…意識がふわふわしている私は思わず、その瞳に吸い込まれるかのように彼にキスをしてしまった…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ