ポケモン(長編)ダンデ

□3
2ページ/7ページ


やったぜっ!
…今夜、ようやくハナに会える…!

彼女と最後に会ったのはもう1ヶ月以上前だ…
別れ際に忙しくなるとは言っていたが…こんなに長い間、会えなくなるとは思っていなかった

おまけに相当、忙しない日々を送っているようで電話はすぐに留守電になってしまうし、メッセージを送っても返ってくるのは相槌のような短文ばかり…

…おかしいな?
俺とハナは友達になれた筈なのに…
…距離感を間違えてしまっているのだろうか…

なんて悩みがモヤモヤと頭の中にチラついて、気付けば仕事中でも溜息が溢れてしまっていた

そんな日々の中、少し前にダイマックスの研究をしているマグノリア博士に用事があってブラッシータウンを訪れた
その時に幼馴染であるソニアに悩みを打ち解けたんだが…

…こっちがびっくりしてしまうくらい驚かれた


「え?!あのダンデくんが!?」
「友達ねぇ…ふーん?」
「私は応援するわよ!」


…とか言っていたんだが、友達になるのに応援が必要なのか?
…意味が分からなくて苦笑いを浮かべながらハナの事を話したんだが…ソニアはニヤニヤするばかりで全く悩みは解決しなかった

最終的には「アタックあるのみよっ!」
…なんて言われて、とりあえず既読のなかなかつかないメッセージをハナに送ったり、空いた時間に電話を掛けてみたりしていた…

そして、先程ようやくハナと会う約束が出来たんだ!

彼女が電話に出てくれただけでも飛び上がるくらい嬉しかったんだが、久しぶりに聞いたハナの声は疲れてしまっているようで…

話を聞けば、案の定、忙しくて疲れているのだと言う

…疲労している彼女をどうにか癒してあげたいと思った俺は、ある場所が頭に浮かんでどうしても連れて行きたくなってしまう

断られるかもしれない…と一瞬、頭を過ぎったがソニアのアタックあるのみ!という言葉を思い出して誘えば、OKが貰えた!

たったそれだけだというのに普段は憂鬱なデスクワークが苦にならなくなった

あぁ…今夜が楽しみで仕方ない…!

…ハナに会うのが楽しみ過ぎて俺の口角は自然にあがってしまっていた…


「…しまった…道を間違えてしまった…」


自分の仕事を早めに切り上げて、早々にバトルタワーを後にした俺は待ち合わせ場所である、広場に向かって歩いていたが…

…一向に辿り着く気配が無い…汗

待ち合わせの時間までまだ30分以上はある…
…しかしハナを待たせたくない俺は早めに到着したくてキョロキョロと辺りを見渡した


「…こんな店、シュートシティにあったか…?
…まだOPEN前のようだが…」


辺りを見渡しているとOPENしていないというのに一際、目立つ造りの見慣れない店があった

…店の雰囲気が何処と無くハナに似ているように感じてふらっと引き寄せられるように店の前へと俺の足が動く…


「…ポケモンサロン…?」


店の看板にはお洒落なロゴの形をした文字が浮かび上がっていて、ポケモンサロンと書かれている

…ガラルでポケモンサロンとは…珍しいな…

ガラルはポケモンバトルが主流な上に、どの家庭でもポケモンたちとコミュケーションを取る一環として各自でトリミングやブラッシングを行うのが一般的だ

…だからこのような店は比較的、珍しかった


「やばいやばい…!
…スマホの電源をずっと落としてたから全然、時間を気にしてなかった…!」


店の中から女性の慌てた声が聞こえたかと思えばカラン…と扉が開いた
…店の目の前に居た俺は出てきた女性とバッチリ対面してしまう

そして…声の主の姿を見た途端に明らかに笑顔なった俺の顔…

…何故なら店から出てきたのは俺が会いたくて会いたくて仕方なかったハナだったから…


「ハナ!!」


自分でも分かるくらいに弾んだ声で彼女の名前を呼べば、目を丸くさせて驚いているハナの顔が見えた


「えっ!?ダンデくん?!
どーしてここに?!」


パチクリとキバナと良く似た垂れた淡いブルーの瞳を動かしながら驚くハナに俺は苦笑いを浮かべる


「恥ずかしい話なんだが…道に迷っていたんだ
…そしたら見慣れないお店があったものだからつい立ち寄ってしまってな…
しかし、ガラルでポケモンサロンとは珍しい…
…君の知り合いの店なのか?」


「…え、ガラルってそんなにポケモンサロン、珍しかったっけ…?」


「あぁ、かなり珍しいぞ?
自分のポケモンは自分でメンテナンスするのが普通だからな…」


…ん?…どうしたんだ…?
…ハナ、表情が暗くなってきていないか…?


「他の地方で長く生活し過ぎてて忘れてた…!
ま、まずいまずい…!
開店早々、店が潰れたらどーしよう…!?」


小さな頭を抱えて盛大に慌てるハナは軽く発狂していた…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ