ポケモン(長編)ダンデ

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キ…キバナに呼び出された…!!

早朝に届いたキバナからのメッセージには…


[今夜、いつものバーな
絶対に来いよ]


…内容はシンプルだったが、俺の予定を聞かずに誘ってくる時は大体、キバナの機嫌が悪い…

…ハナがあの日の夜の事をキバナに相談したんだろうか…
あぁ…きっとキバナは怒っているだろうな…

…いや、むしろ俺はキバナに怒られるべきだ…
2度もキバナの大事な妹に手を出してしまったのだから…!

…いくら時間が経っても俺のハナに対する罪悪感は増すばかりで…
…ずっと仕事も手に付かず、夜も容易には寝られない日々を送っていた…

そんな中、キバナからの呼び出しだ…
俺は腹を括っていつものバーに重たい足を運んだんだが…
…キバナは俺の予想とは違って至っていつもの温厚な様子だった…

どうやらハナはあの日の夜の事を何もキバナに話してないらしい…
だが…彼女の様子がおかしいようで、キバナは酷く心配しているみたいだ…

…俺は自分の酒癖のせいでハナに酷いことをしてしまったと思っていたが…
…キバナの話だと俺の酒癖は悪くないらしい…

俺にはあの日の夜の記憶がないから確かな事は言えない…
…それでも分かる限り、全て話すべきだよな…

キバナはハナの兄なのだから自分の妹の様子がおかしかったら当然、心配するに決まってる
…俺だって弟のホップが落ち込んでいたら気になるし、心配で仕方なくなるだろうからな…

そう考えた俺はキバナに怒鳴られる覚悟で重たくなっていた口を開いた


「…あの日…
俺は朝起きたらハナを抱き締めていたんだ…
…俺のベッドで」


「はっ!?」


声を荒げるキバナは、先程まで垂れていた目を一瞬で釣り上げた


「君が怒るのも無理はない…
俺は2度も同じ過ちを犯してしまったんだ…
…ハナは何も酷い事などされていないと言っていたが…
俺の腕には彼女が噛んだと思われる歯型があったし、君を連れてすぐに帰ってしまったし…」


「ちょっ…タンマっ!情報量が多過ぎる!
一旦、考えさせてくれっ!」


覇気のない声で言葉を続けていたら、キバナが止めに入り、焦った様子で額に手を当てながら考え込み出した


「……多分、お前は何もしてねぇよ」


…しばらくしてキバナがようやく口を開く


「だ、だが…!
腕に彼女の歯型があったんだ…!」


怒鳴られる覚悟で話をした俺はキバナの落ち着いた様子に逆に焦りを感じてしまう
…そんな俺をキバナは落ち着けと言いたそうに額を小突いた


「…仮にお前が本当にハナを襲ってたら流石に俺様が起きると思わねぇか?」


「あ……た、確かに…!」


キバナの意見にハッとした

…キバナの言う通りだ…
あの時、住んでいたマンションの部屋の間取りは1LDKだが…
…寝室とリビングの扉は常に開け放たれている

…そんな状態で俺がハナを襲っていたら、流石にキバナが起きてキレる筈だった


「そ、それならどうして歯型が…!」


「そこまでは流石に俺様でも分かんねーよ!
…ただ、ハナが何もされてないって言うなら本当に何もしてないと思うぜ?
…アイツ、昔から滅多に怒らねぇけど、1度キレ出したら手が付けられねぇくらい怒るからな…
……いやもうホントに…」


そう言ったキバナは何を思い出したのか、顔がとても蒼白としていたが…
…見なかった事にしよう…汗

…ハナが怒る所なんて想像がつかないし…


「しかし、キバナ…
…あの打ち上げの日からハナの様子がおかしいんだろう?」


「ん?…あぁ、そーだよ
…仕事には支障がないみたいだが…
なんつーか家では上の空なんだよな…
…明日から家を出るとか言われたし…」


「えっ…な、何故だっ!?」


「分かんねーからお前を呼び出したんだよ!
…なんか知ってんじゃねぇかって思ったけど、ダンデは記憶がねーんだろ!」


「うっ…す、すまない…」


…結局、いくら議論してもなかなか答えが出なくて…
後日、2人でハナのポケモンサロンに行って様子を探ろうという事になって店を出た

…トボトボとキバナとシュートシティの街の中を歩いていると俺はとんでもないものを見てしまった…!


「キ、キバナっ!
アレ!アレを見てくれっ…!!」


「んだよダンデ…引っ張んなよって…
…な、なんだありゃ?!どーゆー事だ!?」


俺が勢い良くキバナの着用しているパーカーを引っ張ったものだから、キバナはウザそうに顔をしかめたが…
…俺の指差す方向を見た途端、ギョッと表情を仰天させる

俺たちの目線の先には…
…シュートシティにあるレストランで仲良さげに笑顔で食事を楽しむ…

…ハナと現ガラルチャンピオン…
マサルの姿があった…
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