ポケモン(長編)ダンデ
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ダンデくんの高い体温が心地良い…
…包み込むような温もりがあって、鍛え上げられた筋肉の感触に凄く安心する…
…キバナと待ち合わせしていたカフェでダンデくんとキバナ…そしてソニアさんだっけ…
あの可愛くて乳のデカい女がダンデくんの隣に居る所を見たときは、カチンときたけど…
血相を変えて私(中身はキバナだけど…)を心配するダンデくんを見たら、凄く安心しちゃったのよね…
…ダンデくんはちゃんと私だけを見てくれてるって分かったから…
今も…こうしてずっと傍に居てくれるし…
…生理痛で寝込んでる情け無い所を見られたのはちょっと…いや、かなり不本意だけど!
仕方ないわよね…男のキバナに女の子の事情なんて分かるわけないし…汗
てゆーか今回、本気で重過ぎる…!
…市販の薬じゃすぐ効力が切れちゃうし…!
…一旦、家に帰って処方されてる薬を飲まないとダメね…
「…ダンデくん…家に帰りたいんだけど…」
ベッドに腰掛けて私を心配そうに見つめるダンデくんへ言葉を投げれば、ギョッとした表情で首を何度も横に振るダンデくん…
「駄目に決まってるだろうっ?!
頼むから大人しく休んでてくれ…!」
「…平気よ
…痛みには慣れてるし、ラティアスに乗ればすぐに…「冗談じゃない!こんな状態の君がポケモンの背に乗るなんて絶対に駄目だぜ!?俺が許さないっ!」
目の前には眉間に皺を寄せて怒った表情を浮かべるダンデくんの顔…
うぅ…家にある薬が欲しいのよぉ〜…泣
…衣類だって着替えたいし、キバナのベッドは布団が薄いし…
…何よりもこんな醜態を皆に晒しまくったから恥ずかしくて嫌なのよ…泣
「…やだ……私、帰りたい…」
「ハナ!駄目だと言ってるだろ…
……えっ!?」
女の子特有のホルモンバランスの乱れにより情緒不安定気味な私は、薄っすらと目に涙が溜まっていた…
…そんな事など気付かずにうるうるとした瞳でダンデくんを見つめてしまえば、言葉を詰まらせたダンデくんが冷や汗を垂らす…
「……た、タクシーを呼ぶから…
…少し待っていてくれ…」
そう言ってスマホロトム片手に部屋を出て行くダンデくんの後ろ姿を見送ると、しばらくして今度はドタバタとうるさい足音が聞こえてくる
…足音だけで誰なのか分かってしまった私は、大きな溜息を吐き出した
「ハナっ!!
今すぐ帰る必要はねぇだろ!?
このキバナ様が一歩も歩けねぇくらい辛かったんだぞっ?!
今日は大人しく泊まっていけよ!?」
ほら…やっぱりキバナだった…
てゆーかうるさいんだけど…汗
「あのねぇ…市販の薬は効きにくいし、着替えもないのよ…
…全部、家に置いてあるから私は帰りたいの」
私は布団から顔だけ出してキバナに怪訝そうな表情と目線を向ける
「んなもん、俺様がいくらでも買ってやるからとにかく休めって!」
…自分の意見を譲る気が全くないキバナに私は段々とイライラしてきてしまう
「…仕方ないとはいえ、こんな醜態を私はキバナにもダンデくんにもあのソニアっていう女の子にまで晒してんのよ…?
プライドも羞恥心もズタズタなの!分かる?!
…もう放っておいてよ…」
…枕に顔を埋めて力の無い声を出した私を見てキバナはようやく黙り込む…
あーもー最悪…
…吐きそうだし、腹痛は治らないし、頭痛で頭がガンガンするし…!
…キバナが心配してくれてるって頭で分かっているのに今は感情のコントロールが出来ない…
「タクシー来たみたいだけど…
…ハナさん大丈夫?歩けそう?」
…そんな時、トントンと部屋をノックする音が聞こえてソニアさんが入ってくる
「…ありがとう、今行くわ…
ごめんなさいね…アナタにまでこんなに迷惑を掛けちゃって…」
「全然平気よ!気にしないで?
…私も重い方だから気持ちは良く分かるわ…」
ずるずるとベッドから這い出るように起き上がれば、ふらっとしながら1階へと降りる
…ソニアさんが私を気遣うように手を貸してくれる上に優しい言葉を伝えてくるからちょっと泣きそうになった
…本当に良い子じゃない…
あー…初っ端から嫉妬してた、さっきの自分が恥ずかしいわ…泣
キバナの家を出れば、アーマーガアタクシーを呼んでくれたダンデくんが私の鞄を持って待ってくれていた
「…俺様も行く…」
タクシーに乗り込んでいるとキバナが泣きそうな顔をして私を見つめてくる…
…心配してくれる気持ちは有り難いけど…
今はゆっくり休みたいのよ…汗
…自分の双子の兄の情けない顔に逆にこっちが心配になる…汗
「1人で大丈夫だか…「俺がハナを送る
…キバナ、いいな?」
やんわりとキバナの主張を断ろうとすると横からダンデくんが口を挟み、ゴンドラに乗り込んでくる…!
…そしてそのままキバナの返事も待たずに扉をバタンと閉め、ドライバーに出発するようにと伝えてしまった…!
「え…ダンデくん…?
…ソニアさん、置いてって良かったの…?」
「問題ないぜ?
…君を1人にさせたくないんだ…」
…そう言うとダンデくんは自分の深い赤色の上着を脱いで私の膝に掛け、手を絡ませるようにキュッと繋ぐ…
…私を優先してくれたのが嬉しくて、手から伝わるダンデくんの体温が暖かくて…
…ホッとした私はそのまま甘えるようにダンデくんに寄り掛かった…