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□まぁそうだよな
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「ごめん、前見てなかった…大丈夫?」

春の訪れもまだ遠い11月、昼下がりの路で偶然ぶつかった貴方が差し出した手のあたたかさが眩しくて、ふらりと意識さえ遠のく。―――一目惚れでした。
たまたまその日はその路を歩いていただけ。たまたま貴方が通りかかっただけ。たまたまぶつかっただけ。全て偶然。だからこそ、より鮮烈に貴方の存在が脳に焼き付いて離れない。その日からずっと、僕は夢の中にいるかのよう。来る日も来る日もあの路を通り続け、偶然ぶつかって助け起こしてくれた名も知らぬ貴方に会える時を待ち侘びて。そうして、また偶然にも貴方は僕の前に現れてくれました。
あの時はありがとうございました、なんて言うと貴方はおかしそうに吹き出して「俺が前方不注意だったのに、ありがとうっておかしいでしょ」と楽しそうに笑った。貴方の笑顔が見られただけで僕の心は舞い上がり、忙しない心臓が騒ぎ立てていたのに、貴方の続く一言で完全にお祭り騒ぎになってしまいました。

「ね、時間ある?ちょっとお茶しようよ」





「――ってのが、僕が枝也を好きになった理由っちゅーか動機やけど、どうやった?」
「…どう、っつーか……俺も愛してるよくらいしか言えないけど…」
「ふーん…まぁそないな反応やったらええかな。キモいとか言われたら耐えれんで喉突いて死ぬとこやったわ」
「馬鹿馬鹿やめろそんなこと思うことすらすんな!」
「枝也が僕ンこと好きな限りせえへんけど?」
「…一生愛してやるから覚悟しとけよ」
「僕もやで」



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