main

□偉大な生徒会様を××してみよう!〜会計編〜
1ページ/3ページ


八漓学園に転校してきてはや1週間。
性奴隷も手に入って良いスタートを切った学園生活は順風満帆で、慣れない寮生活に戸惑っていたら先輩が助けてくれるし、同じ部屋になった生徒とあっさり打ち解けられた。至って普通の学生をする傍ら、夜間は性奴隷――薬袋会長の調教と生徒会陥落作戦のための情報収集に明け暮れる、そんな充実した日々を送っていた矢先のこと。

「…貴方、中瀬 涼くんよね。ちょっとお話したいことがあるの、一緒に来て頂戴。」

夕食を終えてのんびりスマホゲームをしていた俺と友人の部屋を険しい表情で訪れたのは、生徒会役員で会計の羽鳥 京(はとり けい)だった。
しかも、俺をお呼び出しとのことらしい。何やったんだよ、と心配そうな友人に大丈夫だから気にしないでと断って、案内されるまま羽鳥に付いて行く。到着したのは、校舎の中にあれど一度たりとて踏み入ったことのない鍵のかかった部屋。どうやらここの鍵は生徒会が所持していたようだ。
俺を先に中へ通すと、用心のためか羽鳥は内側から扉に鍵をかけた。部屋の中は綺麗なもので、埃一つなく整頓されている。ふかふかと気持ちよさそうな大きいソファーや雑多なジャンルの本が詰まった本棚、テーブルにティーセット、果てはベッドまで完備されたこの部屋が一体何のための部屋なのか想像もつかず首を傾げていると、依然として険しい表情のままの羽鳥が振り返ってこちらを見た。

「…何のための場所なのか、って顔ね。ここは生徒会が共用で使ってる部屋よ。サボりがちな書記が仕事する代わりに、って要求したのが最初だけど…」
「じゃあ、あのベッドって…」
「そうよ。書記が欲しいって言ったの。保健室のベッドは硬いから、ってね。さ、そこのソファーにかけて。長い話し合いになるでしょうから、お茶を淹れるわ。」

お言葉に甘えて、ソファーに腰をかける。見た目通りのふかふかで座り心地がよく、行為をしても腰が痛くならなさそうだ。まぁでもお誂え向きなベッドがあるんだし、折角ならそっちでしようか。更には飲み物まで出してくれるなんて都合がいい。ポケットに忍ばせたタブレット型のクスリが、早く紅茶の中に溶けてしまいたいと暴れているようだ。てきぱきと手際よく紅茶を淹れていく羽鳥の首筋に会長様のと同じクスリを打ってもよかったけど、ここはシチュエーションを重視しようじゃないか。
ティーセットを乗せたトレーを手に羽鳥が戻ってくる。そのトレーの上には香りのいい紅茶が注がれたカップや、紅茶がなみなみと入ったティーポットなんかが置かれているが、ひとつ足りないものがある。羽鳥もそれに気付いたようで、あっと声を上げてソファーから立ち上がった。

「あら?…あっ!ごめんなさい、お砂糖を忘れてたわ。すぐ持ってくるわね。」

パタパタと早足で戸棚へ駆けていく羽鳥を見送りながら、羽鳥のカップにタブレット型のクスリを落とし入れる。無味無臭のものだから、効果が現れるまでクスリを盛られたことには気付けないだろう。シュガーポットを取ってくるだけだったからすぐに戻ってきたが、その頃には小さな錠剤はすっかり溶けてしまっていた。コトリとトレーにシュガーポットを置き、小さなトングで中の角砂糖をひとつ紅茶へ落としながら羽鳥が改まって声を発する。

「……あのね、私、知ってるの。貴方が会長に…何か、良くないことをしているって。」
「なんでそう思うんですか?」

気持ちを落ち着けたいのか、スプーンで角砂糖を溶かしきった紅茶を一口飲んでから、意を決したように俺の行いを糾弾する言葉を言おうとして―――

「だって、貴方が転校してきた日から、貴方に学園を案内した日から朔太郎の様子がおかしいのよ! 小さな変化だから、私以外は気付いてないけど……ッ、?」

ぐらり。傾いて前のめりに倒れ込んだ身体はちょうど俺にもたれかかる形になり、突然のことに理解が追いつかない様子の羽鳥に囁きかける。

「残念でしたね、羽鳥先輩。あんたがそれを他の生徒会役員にも伝えてから行動すればよかったのに。」


次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ