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長い夢をみていた気がする
重たい瞼を押し開けると見慣れた天井
首を動かし辺りを見回すと自分の部屋であると分かった
「ん、貴方豊前様の?」
枕元に気配を感じそちらをみると
豊前様の使い鳥が私を覗き込んでいた
私が起きたことを確認し、羽ばたいていく
(誰か呼んできてくれるのかな…)
上体を起こすと肩に鈍い痛み
見ると包帯をぐるぐる巻きにされていて余計にジンジン痛む
あれは夢ではなく現実だったんだ
その事実が重く私にのしかかる
「よぉ、目覚めたか」
「匡様……」
変わらない匡様の顔を見て、安堵のせいか涙が溢れてきた
そんな私に何も言わず頭を撫でてくれている
「今思えば…祥様の暗い部分に気付かないふりしていたのかもしれません。私にとっては優しいお兄ちゃんだったから」
幼少期より一緒に過ごしてきた
全く何も違和感を覚えなかったかと言えば嘘になる
でも私は勝手に見ないふりをして、優しい祥様を盲信していた
「俺だって血を分けた兄弟だ……俺にも責任がある」
「そんな、匡様には……」
「今日くらい敬語つかわなくていーぞ、疲れるだろソレ」
「いきなり言われても……無理です」
そういうと匡様は優しく笑った
少し話をして、太郎様達の無事を確認できた
但し1番怪我の酷い太郎様は回復まで時間がかかるだろうということも併せて知った
「私がもっと早く駆けつけてれば……」
「雛菊のせいじゃねーよ。それに、お前はあの状況で最善を尽くした。自分がぶっ倒れるまで、な」
「匡様の意地悪」
祥様は今回の件で、おそらく当主になる事は不可能だろう
それはつまり、目の前のお方が新しい当主様ということで
「ご当主、かぁ」
「まだだよ。迂闊に言ってっと干されるぞ」
「ふふ、たしかに。ではこれは兄弟の冗談話ということにして下さい」
私が笑うと匡様も笑った
まだ全快ではないため、もう少し休むことにして1人になった
目を閉じるとあの時の祥様が脳裏に浮かぶ
(なんて冷たい目をしてるんだろう…)
母さんが殺された時に見た鵺の一族の目
それと全く同じもののように思えた