TWD 短編
□どこで間違えたのか
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「いやぁぁあああああ!」
動かなくなった二人を見てもこれが悪い夢のようにしか思えなかった
ダリルは連れていかれたし、救世主との取引をすることになったし
こんなの間違ってるってわかっていながらあのときの恐怖が忘れられないから何も出来ない
「救世主がきたぞ!」
その言葉でアレクサンドリアには緊張感が流れる
ニーガンの後ろにはぞろぞろと救世主がいて、その中には私が一番会いたかったダリルもいた
「ダリル!」
リックも気づいたのか、呼び掛けたものの
ニーガンに作業員に話しかけるなと言われて何も言えなくなってしまった
「おい、名前は?」
「…時雨」
ニーガンなんかと話したくないがこいつのやり方は逆らった人じゃなくてその周りの人を殺すから無視なんてできなかった
それでも私は酷く睨み付けていたようで
女はそれくらいの方がいいなんて言って肩を組んできた
「時雨、街を案内しろ」
「まてニーガン、案内なら俺が」
「俺は時雨に頼んでるんだ、わかったか?」
「あぁ…わかった」
リックは申し訳ないという顔をしていた
満足したのか救世主達は入り口に集まっていて
あぁ、やっと帰ってくれるのかと少し安堵した
「時雨を連れていく」
その発言を聞くまでは
「どういうことだニーガン!!」
「そう焦るなよリック。別に酷いことはしないさ。妻として連れて帰るだけだ」
「…妻?」
「ここよりも快適に過ごさせてやる」
もちろんリックには拒否権はないし私にも拒否権はない
「ニーガン」
「どうした?俺の可愛い奥さん」
「ついていくから最後にリックと話させて」
「あぁいいさ」
「時雨…すまない…すまない」
「いいの、でもこれを預かっといて」
私はダリルとのペアリングをリックに渡す
「…わかった」
最後にハグをしようと腕を広げると
遠慮がちにハグしてくれたリックに
「絶対に私が殺すから待ってて」
そう告げてニーガンのもとへ行く