TWD 短編

□後悔
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いつか、お前は言ったな



「ダリルのボウガンを構える手つきってやらしいね」



……それじゃねぇな



「キスして」


「……突然なんだよ」


「キスに理由が必要?」


いつもの笑顔でそう言った時雨の考えは全然わかんねぇし
ついに頭おかしくなったか?と正直思った



別に嫌じゃねえ
むしろ……
いや、確かに俺は仲間とかじゃなくて一人の女として惹かれてる

だが、こいつの考えが読めねぇ



「ねぇ、嫌?」


「何なんだよ」


「死んだときに後悔したくないの」



そう言われたとき、絶対にしてやらねぇって決めた











「ねぇ、ダリル」


俺の手の中にあるちっさい手をぎゅっと握ると自分の手が震えてるのがわかった



「ねぇ、ダリル……泣かないで」


こんなに側にいたのに
こんなに近くにいるのに

守れなかった……


また、俺は……


「大丈夫、一人じゃないよ」


なんでわかるんだよ、エスパーかお前は


「もう、皆家族だよ」


「……時雨っ」




「ねぇ、ダリル……キスして」


こんなことになるならとっととしといたらよかった

初めて触れた時雨の唇は酷く冷たくて


「愛してる」


どちらが言ったのか、はたまた両方なのか


俺は好きな女のこめかみにナイフを突き刺した


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