緋色のアリオーソ

□story.2
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夜も更けた頃、セオは書斎で昼間のことについて考えていた。一瞬ではあったが、アリスの髪が先ほどまでの栗毛ではなく、オレンジ色になった気がしたのだ。その瞬間膨大な魔力を感じ、すぐさま乗っていた馬車から降りたが、すでに魔力は消えておりオレンジ色に見えたアリスの髪も何事もなかったかのように栗毛に戻っていた。

見間違いだったのかもしれないし、魔力の出どころもアリスではないかもしれない。今それを知る術がなく、セオはもどかしさを感じずにはいられなかった。



書斎の扉をノックする音が聞こえ、セオは我に返った。


セオ「入れ」


誰が訪れたのかはセオには分かっていた。一度感じたことのある魔力なら誰のものかを判別できるからだ。





ロナルド「良い知らせと悪い知らせがあるんだがどっちがいい?」




セオ「…悪い方だな」



ロナルド「じゃあフレア嬢ちゃんの件な。逃走した犯人は見つけた。が、見つけた時には殺されていた。しかも身元が分からねえようにご丁寧な殺りかたでな」



セオ「賊を雇ったんだろう。報酬をたくさんやるとか言って。フレアを狙ったのか…あるいは…」



貴族や平民の中から雇ったなら、誰かがいなくなったときに騒がれるリスクが高くなる。賊が飛びつくほどの高額報酬を開示しても怪しまれないほどの身分の者、つまり黒幕は貴族ということになる。
その件でこの地まで出向いてきた2人にとってはこの真相は想定の範囲内だった。



ロナルド「この件はこれで終わりだ。深く突き止めたいところだが、今はこれ以上派手に動くとこっちの動きもばれかねねえからな」



セオ「ああ。それで、いい知らせとは何だ?」


その言葉を待ってましたと言わんばかりに口角をあげた。



ロナルド「実はだな、アリスの父親なんだが…」







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