第2巻
□Act.7 地獄四谷タクシー怪談
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タクシー
現代において、欠かせない交通手段。
料金は高いが便利なシステム。
だが、その一方で密室を利用した犯罪等も増えているーーー
・・・・・
出張からの帰り道。
帰る途中で、『極楽満月』で用事を済ましてしまおうと鬼灯とティールは揃ってバス停を目指している。
が…
「あっ…あぁぁ…行っちゃいました…」
ちょうど停まっているバスに乗ろうと、鬼灯とティールはバス停へと急ぐがバスは、どうやら出発してしまったようだ。
しゅん、と落ち込んでしまっているティールの頭を撫でて、鬼灯はバスの時刻表を見る。
「………、ふむ…。今度来るバスは…1時間後…ですか…」
「あぅぅ…私がもっと、急いで歩いてれば……こんなことには…」
「ティールさんが悪い訳じゃないですし、謝らなくて大丈夫ですよ」
撫で撫でと嫁の頭を撫でて宥める。
「……そうですね、でも、これじゃあ…『極楽満月』に着くのが夕方になってしまいますね…」
「どうする…ですか…?」
「……タクシーで行きますかねぇ…」
「???」
たくしー?と首を傾げているティール。
「?ああ、ティールさんは知りませんでしたね。タクシーというのは、現世にもですが地獄にもある交通手段ですよ。まあ料金は高いですが、バスよりも早い乗り物です」
「すごい…です…!」
どうやら、地獄のタクシーは初体験のようで。
ちょぴりワクワクとした表情を見せている。
(かわいい…)
ふわふわと微笑んでいるティールを見て、鬼灯はそんな事を思っていた。
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