第2巻
□Act.8 三匹が逝く
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閻魔殿にてーーー
桃太郎のお供であるシロはテコテコと大王の居る裁判の間へとやって来た。
そして、キョロキョロと辺りを見渡して………
「え、鬼灯様、今日お休みなの?」
と首を傾げながら問いかけた。
ティール様も居ない……残念…。と落ち込み気味なシロに苦笑しながら閻魔大王は答える。
「うん。鬼灯君、二日続きで徹夜だったから今日は休ませたよ」
寝てるんじゃない?と言う大王にシロの質問が届いた。
「じゃあティール様は?一緒にお休みしてるの?」
尻尾をふりふりしながら問いかける。
「うん、そうだよ。鬼灯君、ティールちゃんを一人で行動させるのがすごく心配みたいでね。彼女を一人で行動させようとすると鬼灯君、凄く怒るんだ」
「あ…相変わらずの過保護というか…溺愛というか…寵愛というか…」
鬼灯の溺愛っぷりに柿助も苦笑している。
「だからね、鬼灯君とティールちゃんはいつも同じ時間に出勤だし、休みも一緒にしてるんだよ」
「確かに、ティール様はすごく人見知りだし、鬼灯様といつも一緒なのは……納得かも…」
シロもうんうんと頷いていた。
「それに、いつも二人とも多忙だしねぇ。ちゃんと休ませないと効率も悪いし」
ひょっとして、何か急ぎの用事だったりした?と大王はシロに問いかける。
「ううん。お話しようと思って来ただけなんだ」
でもお休みなら今度にしようかなぁ、と裁判の間を出ていこうとする桃太郎ブラザーズの三匹。
そんな三匹に
「うーん。でも、もうお昼だし…起こしてもいいと思うけど……」
「「「けど?」」」
「下手に起こすと一瞬して君の顔の形が変わるかも…」
「何をされるの!!?」
大王の一言に驚きを隠せないシロ。
柿助とルリオも若干ビクビクしてしまっている。
「元々彼は寝坊なんてしないから。人に起こされる事がまず無くって。でもティールちゃんと結婚してからはティールちゃんに起こされるだけは全然大丈夫なんだよ」
「ん?起こすことが出来るのがティール様だけ?」
どういう事?とシロは首を傾げている。
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