いらない気持ち

初めて精通がきた





アルが人間に戻って、数ヶ月の事だった、もちろん悪いことじゃない、知識は知っていたし、アルが人間に戻って肩の荷が降りたのかもしれない…背が伸びた証拠かも!と淡い期待を募らせ、背を測ったが、そんなことはなかった……
…と、こんなことはどうでもいい、問題は、抜いた時に浮かべた相手だ
「…こんなことってアリか?」
一つ、ため息をつき、ベットの上で力なく項垂れる、所謂、賢者タイムってやつだ、こうゆうの時にはそっとしておいて欲しいものだが、相手にとっては関係ない、オレの悩みの元凶がやっと歩けるようになったのをいいことに、ニコニコと俺の前に現れられた
「…おー……どーした、 アル」
「ボクはこんなに楽しいってのに、そんな辛気臭い顔して、どうしたの?」
「あーーーー…なんでもねぇよ、それより、寝てなくていいのか?」
くそぉ楽しそうにしやがって、だんだん罪悪感が偉く募ってきた、比例して憂鬱な気持ちも大きくなる
「…ンフフフ、見てこれ!」
だらけた笑みを浮かべ、胸の辺りを指差す、随分と肉のついた胸や足を見て、また安心する
「ね!みて!まだ走れはしないけど、すごい歩けるようになったんだ!」
おれのせいでこんな体になって、それでも何も言わずにリハビリを頑張ってくれた、本当に感謝してる
…それに比べて俺は……
「そうだな、本当に、頑張ってくれた」
そういい頭をぐしゃぐしゃと撫でる、嬉しそうにその綺麗な瞳を細める姿に、ハッとして俺は手を引っ込める、夢の中の出来事がフラッシュバックしてきたのだ、が、アルはそんなことは構わず、えへへ、と尚嬉しそうにしている
「ほら、もう一眠りしてこいよ」
松葉杖になって、やっと退院したアルは、一旦リゼンブールに帰ろうと言うことになった
アルが通院している間、世間は 大きく様変わりした、今は余計な情報を与えないように、と、まぁ 、言っちゃなんだが随分田舎なリゼンブールに行こう、ということになったのだ
「えぇ〜もういっぱい寝たよ〜」 
そうか、そうだよな、ずっと寝てたんだ、今更慣れるはずもない
「兄さんは暇じゃないの?」
「う〜ん、そうでもないぞ?国家資格の返還とか、新しい仕事探しとか、家もこれから探してかなきゃならない、俺はまだまだ錬金術の事を勉強するつもりだ」
「そっかあ、もう僕達 根無草じゃぁないんだ!」
確かに旅とかは、色々してみたいが、俺はアルと離れたくないし、生身に戻ったアルを危険な目に、合わせたくない
「猫とかも飼えるかなぁ」
「そうかもな」
確定しない未来の話をするのは、好きじゃない、けど、アルと二人なら、できる気がするんだ
………
……

でも、今は違う…
まともにアルの目も見れてない
どれもこれも、俺の生意気なエドのせいだ
もう一回ため息をつく
「これからどうしようか」
隣では弟の背中がゆらゆら揺れていた

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