迷惑

頭が痛い…



朝起きた時に思い浮かんだ1番の言葉


あー、熱中症、貧血、気圧の差、疲労、ストレス...

思いつく限りの、この頭痛の原因を探したが、どれも当てはまっているようで、結論には至らなかった、熱...じゃないよな、症状が違う、風邪でもない….よかった、風邪とか、流行病じゃなかったら、みんなにうつして迷惑のかかることがない、大丈夫、この痛みをボクは知っている、きっと夢中で何かに打ち込んでたら気づいたら消えてる、そう思い込ませ、朝の支度をし、出かける準備をする

出かける準備をしながら、まだ寝ている兄さんのことを考えた、今日は兄さんと美術館に行く約束をしていたのだ、兄さんは今、国家錬金術師とし、とある研究所で、班長を勤めている、中央に来いと声をかけてもらってるようだが、なぜか断ってるらしい、ボクも錬金術は使えるけれど、そこまで深くは関わっていない、
何かと忙しそうなのに、今日はボクのために、休みをとってくれたのだ、そして今日は美術館展覧会の最終日、これしきの頭痛で断念するわけにはいかない!けど倒れて迷惑をかけるのは避けなきゃ…そんな事をブツブツと考えてたら、目玉焼きを焦がしそうになった
「危ない危ない」 
もー、今日はついてないな…
けど、そんなことはどうでもよくなるくらい、ボクは浮かれていたんだ、いつもなら、滅多に行けない兄とのお出かけ
ルンルンと兄を起しに行こうとする
…と、
「兄さん!ま、まさか…自分で起きれたの…⁈」
「おぅ、今日は…アルとぉ美術館に、行くんだもんな」
若干眠そうな声で兄さんが返す、いつもはボクが必死に起こさないと起きないのに…
兄さんが… ボクのために…早起きを?
ボクのために…
前言撤回!今日は最高についてる日だ!


美術館を一通り見終わってお昼前、兄さんがどこかで食おうと、賑わいのある通りを通っていた
「あ」
「んー?どうしたー?」
突然止まったボクに対して、兄さんは 優しく声をかける
ボクの目線の先には割と賑わっていたクレープ屋
「…まだ昼前だぞ?」
ボクは兄さんの瞳をジーッと見つめた

「ったく、お前こんなんで昼食えるんか」
あの勝負はボクが勝った、そう満足しながら目の前のクレープを頬張る、口いっぱいにしあわせな味が広がった隣に兄さんがいるから尚更だ …まだズキズキと頭が痛む気がするけど、いっぱい笑ってればどこかに吹き飛ぶような気がして、ボクはいつにも増していっぱい笑った
「ボクが大食いなの知ってるでしょー?一緒に育ってきたんだし、まぁ、当たり前じゃない?」
「んだよー俺のせいってか」
そうひんまがった兄さんの口にボクの甘いクレープを突っ込む
「どぉ?」
「甘い」
「だろうね」
二人で笑い合う
しあわせだ

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