短編*お題*誕生日*企画

□短冊にのせて
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季節感のないこの部屋に貴女が日本の四季を連れて来てくれます。




今日もワサワサとなんだかいつもより凄い物を持ってきましたね。



――――あれは、笹ですね。



一応、私に分からないように隣の部屋に入ったつもりなんでしょうけど……バレバレですよ?




今日は7月7日、七夕ですか。



七夕飾りは画像でしか見た事がありません。それを私に見せてくれるという事ですね。

ここは黙って待ちましょう。


―――そうですね、そんな貴女の為に、今日は仕事を早めに切り上げましょうか……。








「あ、おかえり。今日は早いね」

ドアを開けると色とりどりに飾られた笹の傍に貴女がいました。



「全部1人で作ったんですか?」

折り紙で作られた飾りの一つを手に取りながら聞くと、「そうよ?」と得意げな顔をする貴女。




「Lは織姫と彦星の話、知ってる?」

「はい。働き者の2人が夫婦になったとたん全く働かなくなってしまった為、織姫の父親の天帝が2人を天の川の両岸へ引き離して、年に1度しか会えないようにしてしまったんですよね」

「そうそう。年に1度だけだよ?もしLが彦星だったらどうする?」

「私が彦星だったらどんな手を使ってでも織姫に会いに行きます」

「ふふっ。Lならやりかねないね」






私が彦星……。
それもいいかもしれませんね。



私が彦星なら――――、

織姫は、貴女。


そしたら貴女と私は、夫婦…。





『L』の名を他の者に継がせて、貴女と2人でのんびり暮らすのもいいですね。


私なら一生困らないほどの財産もありますよ?






「はい、短冊。願い事を書いて飾ると叶うんだよ」

笑顔で短冊を渡してくれる貴女。





そうですね、願い事は……







ずっと 貴女と一緒にいられますように――――



END


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